持続化給付金

【持続化給付金】個人事業主から法人成りした場合の取り扱い

持続化給付金の申請において、個人事業主から法人成りした事業者については特例制度が適用されます。

この特例制度は、法人化した時期が2019年と2020年では取り扱いが異なるため注意が必要です。

ここでは、個人事業者から法人化した場合に適用となる特例について解説します。

 

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持続化給付金

「持続化給付金」とは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支えるために、国が個人事業主に最大100万円、法人に最大200万円の給付金を支給する制度です。

 

法人の場合は、原則として、以下の要件に該当する事業者が給付対象者になります。

  • 2020年4月1日時点で、資本金の額又は出資の総額が10億円未満もしくは常時使用する従業員数が2,000人以下である
  • 2019年以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続意思がある
  • 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)がある

 

なお、2019年又は2020年に個人事業者から法人化した場合には、「創業特例」や「法人成り特例」といった特例制度が用意されています。

このあとに、それぞれの特例制度について詳しく確認をしていきましょう。

 

2019年に法人成りした場合【創業特例】

2019年1月から12月までの間に個人事業者から法人化した場合であって、対象月の月間事業収入が、2019年の月平均の事業収入に比べて50%以上減少している場合、創業特例の適用を選択することができます。

 

次の具体例で、給付金の要件判定と計算方法を確認してみましょう。

  • 2019年10月に法人成り
  • 2019年の年間事業収入:180万円
  • 2020年5月の月間事業収入:20万円

 

売上要件

 

【判定】

2019年の年間事業収入から月平均の事業収入を算出して、この金額と対象月の事業収入との比較により判定をします。

2019年の月平均の事業収入が60万円(180万円÷3か月)、 2020年5月の月間事業収入が20万円であり、前年同月比で50%以上減少しているため給付対象となります。

 

【給付額】

2019年の年間事業収入÷2019年の開業後月数×12ー(前年同月比▲50%月の売上×12か月)
(※開業した月は、操業日数にかかわらず1か月とみなす)

180万円÷3か月×12ー20万円×12か月=480万円>200万円(上限額)

したがって、給付額は支給上限額の200万円になります。

 

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【提出書類】

  • 対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告書類の控え
    (事業年度が複数にまたがる場合は、2019年中の全ての月間事業収入がわかるものを提出すること)
  • 2020年分の対象月の売上台帳等
  • 通帳の写し
  • 履歴事項全部証明書

 

創業特例の適用を受けるときは、事業収入がわかる書類に加えて「履歴事項全部証明書」を提出する必要があります。

ただし、会社設立の年月日が、2019年1月1日から12月31日のものに限ります。

履歴事項全部証明書

 

2020年に法人成りした場合【法人成り特例】

2020年1月1日以降に個人事業者から法人化した場合において、法人成り後の対象月の月間事業収入が、2019年の法人化前の個人事業者の事業収入に比べて50%以上減少している場合、法人成り特例の適用を選択することができます。

なお、給付金に関しては、法人設立日によって上限額が異なるため注意が必要です。

  • 法人設立日が2020年4月1日までの場合は、上限額が200万円になります。
  • 法人設立日が2020年4月2日以降の場合は、上限額が100万円になります 。

 

次の具体例で、給付金の要件判定と計算方法を確認してみましょう。

  • 2020年1月1日に個人事業者から法人化
  • 2019年の個人事業者の年間事業収入:300万円
  • 2019年4月の個人事業者の月間事業収入:30万円
  • 2020年4月の法人化後の法人の月間事業収入:13万円

売上要件

 

【判定】

2019年4月の個人事業者の月間事業収入が30万円、 2020年4月の法人の月間事業収入が13万円であり、前年同月比で50%以上減少しているため給付対象となります。

 

【給付額】

前年の事業収入ー(前年同月比▲50%月の売上×12か月)

300万円ー(13万円×12か月)=144万円<200万円(上限額)

したがって、給付額は144万円になります。

 

【提出書類】

  • 個人事業者として提出した2019年分の確定申告書類の控え
     青色申告
      確定申告書第一表の控え(1枚)
      所得税青色申告決算書の控え(2枚)

     白色申告
      確定申告書第一表の控え(1枚)

  • 2020年分の対象月の売上台帳等
  • 通帳の写し
  • 個人事業の開業・廃業届出書
  • 法人設立届出書
  • 履歴事項全部証明書
  • その他事務局等が必要と認める書類(電子申告の受信通知など)

 

法人成り特例の適用を受けるときは、個人事業の廃業及び法人設立に関する書類の提出が必要になります。

個人事業の開業・廃業等届出書

①「廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合」欄に記載がある
②その法人名・代表者名が申請内容と一致している

また、税務署受付印の押印、又は電子申告による受付日時の印字が必要になります。

個人事業の廃業届出書

 

法人設立届出書

①「設立形態」欄で「個人企業を法人組織とした法人である場合」を選択している
②「整理番号」欄に個人の確定申告の番号を記載している

また、税務署受付印の押印、又は電子申告による受付日時の印字が必要になります。

法人設立届出書

 

履歴事項全部証明書

会社設立の年月日が、事業収入を比較する2つの月の間であることが条件です。

履歴事項全部証明書

 

法人の持続化給付金について、「創業特例」と「法人成り特例」をまとめてみました。

個人事業主から法人成りしたときは、その時期によって適用される特例が変わります。

特に、添付書類に大きく違いがあるため、適用する特例を間違えないよう注意してください。

 

編集後記

昨日は、スポット相談の対応を。最近は、持続化給付金の関係でスポットでお問い合わせをいただくことが増えました。

 

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