新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少した事業者に対して、家賃の一部を国が負担する制度が始まります。
この制度の要件を満たすと、法人で最大600万円、個人事業主で最大300万円が支給されます。
ここでは、地代・家賃の負担を軽減する家賃支援給付金について解説します。
家賃支援給付金
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした自粛要請等によって、売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、固定費の中で大きな負担となっている地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して「家賃支援給付金」が支給されます。
給付対象
- 2020年4月1日時点で、次のいずれかにあてはまる法人であること。
① 資本金の額または出資の総額が、10億円未満であること。
② 資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。 - 2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
- 2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、以下のいずれかにあてはまること。
① いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
② 連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている - 他人の土地・建物を自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、給付対象外となります。
- 国、法人税法別表第一に規定する公共法人
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」を行う事業者
- 政治団体
- 宗教上の組織若しくは団体
- 1~4に掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者
給付対象となる具体例①
2020年5月の売上が、前年の同じ月の売上と比較して50%以上減少。
給付対象となる具体例②
2020年5月から7月までの売上の合計が、前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減少。
給付額の算定基礎となる契約・費用及び契約期間
給付額算定の基礎となるのは、次の要件に該当する契約・費用になります。
- 2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があること。
給付額算定の対象 | 給付額算定の対象外 | |
契約 | ・賃貸借契約(土地・建物) | ・売買契約 |
費用 | ・賃料 ・共益費、管理費 | 左記以外の費用・支出 (例) ・電気代、水道代、ガス代 ・減価償却費 ・保険料 ・修繕費 ・動産の賃借料、リース料 ・契約関連費用(更新料、礼金、解約違約金など) ・敷金・保証金 ・不動産ローン返済額 ・看板設置料 ・販売促進費 ・テナント会費 |
なお、共益費及び管理費が、賃料について規定された契約書と別の契約書に規定されている場合は、給付額算定の対象には含まれません。
給付額の算定根拠とならない契約
次のいずれかに該当する契約は、賃貸借契約であっても、給付の根拠とならない契約のため給付額の算定には含めません。
- 転貸(又貸し)を目的とした取引
- 賃貸借契約の賃貸人と賃借人が実質的に同じ人物の取引(自己取引)
- 賃貸借契約の賃貸人と賃借人が配偶者又は一親身以内の取引(親族間取引)
給付額
法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円が一括支給されます。
算定方法
申請時の直近1か月における支払賃料(月額)に基づき算定した給付額(月額)をもとに、6か月分の給付額に相当する額を支給。
【法人】
支払賃料(月額) | 給付額(月額) |
75万円以下 | 支払賃料×2/3 |
75万円超 | 50万円+(支払賃料の75万円の超過分×1/3) |
※給付額(月額)は100万円(月額)が上限
【具体例】申請日が8月10日で、8月分の支払いが完了している場合
【個人事業者】
支払賃料(月額) | 給付額(月額) |
37.5万円以下 | 支払賃料×2/3 |
37.5万円超 | 25万円+(支払賃料の37.5万円の超過分×1/3) |
※給付額(月額)は50万円(月額)が上限
【具体例】申請日が8月10日で、8月分の支払いが完了している場合
添付書類
【法人】
- 2019年分の確定申告書別表第一の控え
- 法人事業概況説明書の控え(両面)
- 受信通知(※e-Taxにて申告をしている場合)
- 申告にもちいる売上が減った月・期間の売上台帳など
- 口座情報
・法人名義の通帳の表紙(法人の代表者名義も可)
・法人名義の通帳を開いた1・2ページ目の両方 - 賃貸借契約書の写し
- 直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類
・銀行取引明細書(振込明細書)
・賃貸人からの領収書
・所定の様式による、賃料を支払っている旨の証明書
【個人事業者】
- 2019年分の確定申告書別表第一の控え
- 月別売上の記入のある2019年分の所得税青色申告決算書の控えがある方は、その控え(両面)
- 受信通知(※e-Taxにて申告をしている場合)
- 申告にもちいる売上が減った月・期間の売上台帳など
- 口座情報
・申請者本人名義の通帳の表紙
・申請者本人名義の通帳を開いた1・2ページ目の両方 - 本人確認書類(運転免許証(両面)など)
- 賃貸借契約書の写し
- 直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類
・銀行取引明細書(振込明細書)
・賃貸人からの領収書
・所定の様式による、賃料を支払っている旨の証明書
申請期間
2020年7月14日から2021年1月15日までです。
(電子申請の締め切りは、2021年1月15日の24時まで)
なお、締め切りまでに申請の受付が完了したもののみが対象となります。
申請方法
パソコンやスマートフォンで家賃支援給付金ホームページにアクセスし、Web上で申請の手続きをします。
なお、2020年7月14日から家賃支援給付金ホームページで申請の受付を開始する予定です。
相談ダイヤル
家賃支援給付金 コールセンター
0120-653-930(受付時間:8:30~19:00)
8月31日まで:全日対応
9月1日以降 :平日・日曜日対応(土曜日・祝日除く)
新型コロナの影響により売上が減少した場合の家賃支援給付金についてまとめてみました。
売上の減少を証明する書類は、持続化給付金と同様の書類を提出することになっています。
申請受付が始ったらすぐに手続きができるよう、事前に資料の作成に取り掛かっておきましょう。
編集後記
昨日は、法人の決算業務と持続化給付金に関する資料作成を中心に。あとは夕方からお客様との面談でした。