持続化給付金の支給対象が拡大され、その受付が2020年6月29日から始まりました。
今回の支給対象の拡大により、「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」「2020年1月から3月の間に創業した事業者」が新たに追加されました。
ここでは、法人の2020年新規創業特例の取り扱いについて解説します。
法人の2020年新規創業特例
2020年1月以降に個人事業主から法人成りした事業者は、「法人成り特例」として持続化給付金の支給対象でしたが、新たに「2020年1月から3月の間に創業した事業者」も支給対象に追加されました。
支給対象者
- 2020年4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。
①資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること。
②資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。 - 2020年1月1日から2020年3月31日の間に法人を設立し、設立日から2020年3月31日までの間に事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
- 2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の法人を設立した日の属する月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(以下「2020新規創業対象月」という。)が存在すること。
また、2019年1月から同年12月の間に法人を設立した場合であって、2019年の事業収入が存在しない(0円)事業者の場合にも本特例を適用できます。
給付額の算定式
S = A ÷ M × 6 - B × 6
S:給付額(上限200万円)
A:2020年1月から3月の間の事業収入の合計
M:法人設立月から2020年3月までの月数
(法人設立した日の属する月は、操業日数に関わらず1か月とみなす)
※2019年の事業収入が存在しないために本特例を用いる場合は3
B:2020新規創業対象月の月間事業収入
具体例①:2020年1月法人設立
- 2020年1月に法人設立
- 2020年1月から3月までの事業収入:120万円
- 2020年6月(2020新規創業対象月)の月間事業収入:20万円
判定
2020年1月から3月までの事業収入から月平均の事業収入を算出して、この金額と2020新規創業対象月の事業収入との比較により判定をします。
2020年6月の月間事業収入20万円が、2020年の月平均の事業収入40万円(120万円÷3か月)に比べて50%以上減少しているため給付対象となります。
給付額
2020年1月から3月の間の事業収入の合計÷法人設立月から2020年3月までの月数×6-2020新規創業対象月の月間事業収入×6
※法人設立した日の属する月は、操業日数に関わらず1か月とみなす
120万円÷3か月×6-20万円×6=120万円<200万円(上限額)
したがって、給付額は120万円になります。
具体例②:2019年6月法人設立
- 2019年6月に法人設立
- 2019年の事業収入:0円
- 2020年1月から3月までの事業収入:240万円
- 2020年6月(2020新規創業対象月)の月間事業収入:30万円
判定
2019年6月に法人を設立しているが、2019年の事業収入が0であるため、「2020年新規創業特例」の要件で判定をします。
よって、2020年1月から3月までの事業収入から月平均の事業収入を算出して、この金額と2020新規創業対象月の事業収入を比較します。
2020年6月の月間事業収入30万円が、2020年の月平均の事業収入80万円(240万円÷3か月)に比べて50%以上減少しているため給付対象となります。
給付額
2020年1月から3月の間の事業収入の合計÷3(2019年に開業して、2019年の事業収入が0円で利用する場合は3)×6-2020新規創業対象月の月間事業収入×6
240万円÷3×6-30万円×6=300万円>200万円(上限額)
したがって、給付額は支給上限額の200万円になります。
提出書類
- 持続化給付金に係る収入等申立書(中小法人等向け)
- 通帳の写し
- 履歴事項全部証明書(設立日が2020年1月1日から3月31日のものに限る)
持続化給付金に係る収入等申立書
2020年1月から2020新規創業対象月までの事業収入を記載し、税理士による署名又は記名押印を得たものを提出します。
履歴事項全部証明書
会社設立の年月日が、2020年1月1日から3月31日のものに限ります。
持続化給付金に関する法人の2020年新規創業特例の取り扱いについてまとめてみました。
今年創業した事業者は、創業してすぐに新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りに苦労していると思います。
新たに支給対象者となった事業者は、少しでも早く持続化給付金を受け取れるよう申請手続きを進めておきましょう。
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編集後記
週末は、納期の特例関係の業務を。あとは家電量販店へ買い物に出かけたりしていました。