確定申告書は、原則として住民票がある住所地を管轄している税務署に提出します。
それでは、住所地とは別に居所地や事務所がある場合は、住所地以外を納税地として選択できるのでしょうか?
ここでは、確定申告書を提出する納税地について解説します。
原則は住民票がある住所地
確定申告書を提出する際に、住所地と居所地が異なる場合は、どちらに提出すべきか悩む方がいると思います。
原則として、国内に住所がある方は、住民票がある住所地が納税地となります。
つまり、確定申告書の提出先は、提出時の納税地を管轄している税務署になります。
また、国内に住所がなくて居所がある方は、その居所地が納税地になります。
一般的に居所とは、相当期間継続して居住しているものの、そこが生活の本拠であるというまでには至らない場所とされています。
納税地の特例
国内に住所がある方は、その住所地を管轄する税務署に確定申告書を提出するのが原則です。
しかし、国内に住所のほかに居所がある方は、特例により住所地に代えて居所地を納税地とすることができます。
たとえば、転勤等で一時的に住民地と違う場所に居住している場合は、転勤先の居所地を管轄する税務署に確定申告書を提出することができます。
また、住所地と違う場所に事業所や店舗がある場合も、特例によりその事業所などの所在地を納税地にすることができます。
ただし、納税地の特例を受けるには、本来の納税地を管轄する税務署に、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出する必要があります。
引っ越しをした場合の提出先
年明けに引っ越しをした場合は、確定申告書を転居前後のどちらの税務署に提出すればいいか迷うものです。
この場合においては、確定申告書は提出時の納税地を管轄する税務署に提出することになるため、転居後の住所を管轄する税務署が提出先になります。
また、引っ越しをして住所が変更になったときは、「所得税の納税地の異動に関する届出書」を転居前の税務署にすみやかに提出しましょう。
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海外移住をした場合の提出先
海外転勤や移住などにより、国内に住所及び居所を有さないことがあります。
このようなときは、納税地について次の順番で判断することになっています。
- 国内に事業に係る事務所等がある場合は、その事務所等の所在地
- 1以外で、その納税地であった住所又は居所に親族等が引き続き、又は代わって住んでいる場合は、その納税地とされていた住所又は居所
- 1及び2以外の場合で、国内にある不動産の賃貸収入がある場合は、その不動産の所在地(不動産が二つ以上ある場合には、主たる不動産の所在地)
- 1~3により納税地を定められていた方が、そのいずれにも該当しなくなった場合は、該当しなくなった直前に納税地であった場所
- 1~4以外で、所得税の申告及び請求等の行為を行う場合は、その方が選択した場所
- 1~5のいずれにも該当しない場合は、麹町税務署の管轄区域内の場所
確定申告書を提出する納税地についてまとめてみました。
住所地と居所地が違う場合や、引っ越した場合などは、どこの管轄の税務署に提出すればいいのか迷うものです。
確定申告書を提出する直前になって慌てないよう、事前に提出先の税務署を確認しておきましょう。
編集後記
昨日は、午前中は顧問先と年末調整の打合せで、午後からは修正申告書の作成でした。とりあえず申告書は作成できたので、あとはチェックをして電子申告をするだけです。