先日、採用業界に関する2つの大きなニュースがあったので、それについて感じたことを書いてみました。
求人情報「an」が終了
日本で最も歴史のあるアルバイト求人情報「an」が、2019年11月25日をもって52年続いたサービスを終了することになりました。
紙媒体からWebサービスへの転換に出遅れたことで、収益の悪化が続いていたそうです。
anといえば、アポ取りのアプローチリストとして活用していた思い出があります。
いまから20数年前になりますが、採用業界に就職したときに、朝から晩まで電話のアポ取りをしていました。
その当時、anは月曜日と木曜日が発行日だったので、朝一でコンビニで購入して、求人広告先へ電話をしていた記憶があります。
求人情報誌に広告掲載している時点で、採用ニーズが確実にあるので、アポイントが取れたあとの成約率は高くなります。
同業者から提供されるアプローチリストとして、アポ取りには欠かせないものでした。
anは、広告効果のある求人情報誌だったので、週2回のペースで発行されていました。
しかし、紙媒体の販売が好調だったため、ネットへの路線変更が遅れてしまいました。
また、紙媒体としての歴史が長かったことも、紙にこだわり過ぎた要因でもあると思います。
こういった過去の成功に縛られて、新たなことへのチャレンジが遅れるというのは、よく聞く話です。
物事が上手くいっているときは、やり方を変えることに抵抗感が生まれるものです。
でも、そのいい状況が永遠に続くとは限らないので、状況がいいときこそ新たなことを始めるタイミングです。
「あの時に〇〇しておけば良かった」ということにならないよう、好調なときこそ大胆な行動が必要でしょう。
リクナビが辞退予測を提供
anが終了というニュースがあった同じ日に、もうひとつ採用業界で驚くようなニュースがありました。
「リクナビ」が、就活生の辞退予測をAIで分析して、38社に有償で情報提供していたということです。
具体的には、A社を受けている学生が、A社の選考・内定を辞退する可能性を5段階で判定し、その結果が企業に提供されていました。
この判定は、前年にA社の選考・内定を辞退した学生が、リクナビ上でどんな行動を取ったかをもとに、AIに辞退の可能性を予測させていたそうです。
就活生のプライバシー情報が有償で提供されていたことは、本当に驚きです。
リクナビとしては、就活生から「リクナビ上の行動履歴などのデータを第三者に提供する可能性がある」ことについて、会員登録時のプライバシーポリシーで同意を得ていたという認識だったそうです。
いくら同意を得ていたとしても、就活生は自分の行動履歴が選考中の企業に提供されるとは、予測していなかったはずです。
就活生の行動履歴を販売するリクナビに問題はありますが、この情報を購入していた38社の選考方法にも疑問を感じます。
個人の行動をチェックしながら採用の合否を決定している企業に就職しても、入社後も行動が管理されている気がして気持よく働けないはずです。
個人情報が利用された就活生だけにでも、情報を提供した企業名を公表すべきではないでしょうか。
AIによりデータ分析が容易になりましたが、その活用法においては、企業のモラルが問われるようになってきています。
編集後記
今日から税理士試験が始まりましたが、受験生のみなさんには悔いのないよう頑張ってもらいたいです。