名古屋国税局

国税局で確定申告に関する電話相談員を担当してみた

1月から3月にかけて、国税局で確定申告電話相談センターの相談員を担当しました。

初めて相談員を担当しましたが、納税者の疑問が知れたり、自分の知識の確認ができたりと、学びの多い経験でした。

 

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確定申告電話相談センター

「確定申告電話相談センター」は、確定申告の時期だけ設置される専用の相談窓口です。

確定申告時期は、税務署への電話が急増するため、1月下旬から3月15日の申告期限までは、税務署職員に代わって税理士が電話相談の対応をします。

税務署宛にかかってきた電話が、国税局の電話相談センターに転送され、確定申告に関する相談であれば、そこで相談員として従事している税理士に電話が繋がれます。

 

今回、わたしが従事した名古屋国税局では、愛知県、静岡県、岐阜県、三重県の4県に所在する税務署宛の電話対応をしました。

電話相談は、8:30から17:00まで受付けていましたが、1日中電話が鳴りっぱなしの状態でした。

常時50名ほどの税理士が従事して、ひとりで1日あたり50~80件ほどの電話を担当しましたが、お昼の休憩以外はずっと電話対応をしていました。

 

スマホ申告の相談は少なかった

今回は、「確定申告等作成コーナー」の操作説明の担当として、電話相談に従事しました。

操作説明を選んだのは、お客様の確定申告だけでは確定申告等作成コーナーを利用する操作が限られるため、多くの問い合わせに対応することで、触れたことがない画面の操作について学べると思ったからです。

また、今年からiPhoneによる確定申告が可能になったため、スマホ操作にも慣れておきたいというのもありました。

 

確定申告等作成コーナーは、年々使いやすくなっていますが、はじめて確定申告に取り組む方にとっては、画面の操作がわかりにくいものです。

特に、今年は新型コロナウイルスの影響により、確定申告の相談会場に出向くのをやめて、はじめてパソコンによる確定申告にチャレンジする方が増えたため、期間の途中からは不慣れな方からの問い合わせが多くなりました。

 

操作について問い合わせが多かったのは、公的年金と医療費の入力についてです。

電話相談の利用者は、年金受給者の方が多いため、どうしても年金や医療費といった質問が多くなります。

質問内容は同じようなものが多いため、もう少し画面上の説明を丁寧にしたり、今年から試験的に導入されたチャットボットを画面に配置するようにするなど、利用者が自分で解決できるような取り組みが必要だと感じました。

 

それから、スマホの操作については、1日に2~3件ほどしか問い合わせがなく、予想していたより少ない結果となりました。

スマホでは画面が小さすぎて、確定申告の入力には使いづらいのかもしれません。

それと、スマホで事業所得の申告ができないのを知らずに、「どこで決算書を作成するの?」という問い合わせを何件か受け付けました。

「スマホで申告ができる」というのは広がりつつありますが、利用できる機能が制限されていることは、あまり知られていないようです。

 

医療費控除と住宅ローン控除が6割ほど

電話相談は、確定申告等作成コーナーの操作説明が担当でしたが、操作に関する相談が少ないときは、一般の税務相談にも対応しました。

一般の相談で多かったのが、「医療費控除」と「住宅ローン控除」に関するもので、この2つで全体の相談の6割ほどを占めていました。

医療費控除については、医療費控除の明細書の書き方と、支払ったものが控除対象になるかの判断に関する問い合わせが多く、住宅ローン控除については、ほとんどが添付書類に関するものでした。

 

「医療費控除」と「住宅ローン控除」については、確定申告に不慣れな会社員や年金受給者が多く申告するため、相談数が多くなります。

この2つの控除については、わかりやすいリーフレットを作成したり、国税庁HPに特集コーナーを設置するなどして、制度の理解が深まるような情報発信がもっと必要なのでしょう。

そして、確定申告に関する手続きを、もっと簡素化することも併せて検討すべきだと思います。

 

電話相談員は学びが多い

納税者が、どんなことで悩んでいるかを知りたくて電話相談員に申し込みましたが、幅広い質問に対応できたことで、悩みを知れただけでなく、自分の知識の確認に役立ちました。

ひとり税理士として仕事をしていると、それほど多くの確定申告を請け負うことができないため、申告業務について幅広く経験できないのが現状です。

たとえば、台風被害による雑損控除といった、普段相談を受けないような内容の問い合わせがあり、電話対応をしたことで計算過程の確認になりました。

 

それから、相談者は、確定申告に対する知識に個々のバラツキがあるため、電話だけで画面操作や申告書の書き方を説明するのは、かなりの大変さがありました。

これについては、まずは相談者の話をゆっくり聞いて、そのうえで質問に対して的確に回答をすることを意識することで、相談者の質問に比較的スムーズに対応できました。

普段から専門用語をなるべく使わずに説明することを意識していますが、電話では相手の表情が読み取れないため、説明したことがどの程度まで理解してもらえているのか確認できないことが、対面形式とは違う難しさでした。

 

相談者の理解度に合わせてわかりやすく伝えることは、普段の仕事にも役立つことなので、いい経験ができたと思っています。

電話相談は、1日中話しているので体力的に疲れますが、勉強になることが多かったので、来年も相談員の申し込みをする予定です。

 

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編集後記

昨日は、とある手続きで区役所へ。4月で人の移動が多いということもあり、窓口がかなり混み合っていました。

 

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