新型コロナウイルス感染症の影響により、確定申告の納付期限が延長されました。
納付期限の延長に合わせて、振替納税の引落日も延長されましたが、ダイレクト納付については、原則として「即時納付」になります。
ここでは、ダイレクト納付を利用した場合の納付期限について解説します。
ダイレクト納付
ダイレクト納付とは、e-Taxを利用して電子申告をしたあとに、届出をした預貯金口座からの振替により、即時又は指定した期日に納税する方法です。
ダイレクト納付を利用すれば、ネットバンキングを契約していなくても、自宅やオフィスのパソコンから納付できるなど、次のようなメリットがあります。
- 金融機関や税務署に出向く必要がない
- インターネットバンキングの契約が不要
- 即日又は指定した期日に納付が可能
- 税理士による代理手続きが可能
期日を指定して納付ができるため、資金繰りを考えながら納税日を決めることができます。
ダイレクト納付を利用するには、事前にe-Taxの利用開始手続きを行い、税務署に「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を提出します。
届出書を提出してからダイレクト納付が利用開始となるまでに、1か月ほど時間を要します。
納付期限延長でもダイレクト納付は即時納付
2019年分の確定申告については、新型コロナウイルス感染症の影響により、納付期限が延長されました。
納付期限の延長に合わせて、振替納税の口座振替日も延長されています。
延長後の納付期限
従来の納付期限 | 延長後の納付期限 | 口座振替日 | |
申告所得税 | 2020年3月16日(月) | 2020年4月16日(木) | 2020年5月15日(金) |
個人事業者の消費税 | 2020年3月31日(火) | 2020年4月16日(木) | 2020年5月19日(火) |
しかし、ダイレクト納付においては、延長後の納付期限の適用が少し異なります。
ダイレクト納付には、納付日が指定できる「期日指定」と、即時に引き落としをする「即時納付」の2つの方法があります。
そして、「期日指定」において指定できる納付日は、原則として延長される前の納付期限までで、災害等により納付期限が延長されたときは、延長後の納付期間について「期日指定」ができません。
したがって、次のいずれかに該当するときは、電子申告後にメッセージボックスへ届いた受信通知からダイレクト納付を行うときは、「即時納付」を選択することになります。
- 2019年分所得税及び復興特別所得税(確定申告分)について、2020年3月17日(火)以降を期日指定しようとする場合
- 2019年分贈与税(確定申告分)について、2020年3月17日(火)以降を期日指定しようとする場合
- 2019年分個人事業者の消費税及び地方消費税(確定申告分)について、2020年4月1日(水)以降を期日指定しようとする場合
なお、納付情報登録依頼を作成・送信をした上で、メッセージボックスに届いた納付区分番号通知からダイレクト納付をする場合は、延長後の納付期限までの間であれば期日指定することができます。
納付情報登録依頼の送信方法は、こちらに詳しい手順が書かれています。
納付を遅らせるなら振替納税かクレジット納付
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業の資金繰りが大変になっている事業者もいます。
できるだけ、税金の支払いを遅らせるのであれば、振替納税かクレジット納付を選択するといいでしょう。
クレジット納付については、カードの締め日によって引落日が変わりますが、1か月近くは支払いを先延ばしできるはずです。
それでも、税金の納付が難しいときは、税務署に納税猶予の相談をしてみましょう。
いまなら新型コロナウイルス感染症の影響による納税の猶予制度が利用できますので、要件を満たせば1年間の猶予が適用されます。
納税の猶予制度については、こちらで詳しく書いています。
ダイレクト納付を選択したときの、納付期限についてまとめてみました。
延長後の納付期限内にダイレクト納付を行うときは、原則として即時納付となるため、資金繰りの関係で税金の支払いを遅らせたいときは、振替納税かクレジット納付を選択しましょう。
編集後記
昨日は、確定申告の作業中に増えてしまった書類の処分を。定期的に紙で送られてくる書類があるため、マメに整理をしないと書類が溜まっていってしまいます。