経営者の方と話をすると、人が採用できないのと同じくらい、人が育たないという悩みをよく聞きます。
人が育たないという悩みを解消するには、人が育つための環境を整備するしかないと思います。
ほったらかしでは人は育たない
経営者の方に「どうやって人の教育をしていますか?」と質問すると、多いのが「OJTでやっているよ」という回答です。
OJTと言ってもしっかりした業務マニュアルがあるわけではなく、とりあえず簡単な作業から手伝わせて、「わからないことがあれば聞いてね」という教え方がほとんどです。
実際、先輩の補助的な仕事をしているだけで、まともな教育を受けずにほったらかしにされているケースが多いのではないでしょうか。
その結果、人を育てるというより、人が育ってくるのを待つだけになるので、なかなか人が育たないということが起こります。
多少時間が掛かっても育ってくれればいいのですが、ほったらかしの環境に耐えられず会社を辞めていく人もでてきます。
教える側の先輩も同じようなOJTで仕事を覚えてきているので、どうやって人を教育していいのかわからないのでしょう。
こういった環境ではなかなか人は育ちません。人が育たないという悩みを解消するには、人が育つための環境を整備するしかないと思います。
成長にはインプットとアウトプットが必要
わたしは、人が成長するには、インプットとアウトプットの環境が必要だと思っています。
そのために、次のような場があると、人の成長に繋がるのではないでしょうか。
①学ぶ場(インプット)
人が成長するためには、まずは幅広い知識を学べるインプットの場が必要です。
しっかりとした教育をせずにほったらかしでは、人は育ちません。
したがって、教える側は知識や情報を提供するとともに、わからないことを気軽に質問できる環境をつくることです。
そのためには、教える側が人を育てるという意識を強く持つべきでしょう。
社内で教えられることが限られるときは、社外の研修会を積極的に活用して学びの場を広げるべきです。
教える側も社外の研修に参加して、教え方を学ぶのもいいでしょう。
②議論する場(インプット+アウトプット)
知識や情報をインプットしただけで、仕事ができるようになるわけではありません。
インプットしたものを自分の言葉で理解して、自分の中に落とし込む作業が必要です。
自分の言葉で理解するには、学んだことについて周りの人と話をしてみることです。
学んだことを自分の言葉で話すことにより、「こういうことだったのか」と理解できたり、考えがまとまったりして知識として定着していきます。
アウトプットによって、新たな気づきのインプットが得られるため、自分の理解がブラッシュアップされていきます。
社内で先輩とフランクに話ができたり、若手が自由に発言できる環境がないと、せっかくのインプットが知識の詰め込みだけで終わってしまいます。
意見を自由にアウトプットできる環境づくりが、若手の成長に繋がります。
③教える場(アウトプット)
立場が変われば見え方が変わることを体感できるのが、人に教えることです。
教えるための知識を理解して、自分のものにしておかなければ、人に上手く説明ができません。
自分ではできると思っていても、アウトプットすることで理解が曖昧なところが見つかり、上手く人に伝えられないことを実感します。
人に教えることは、自分が理解するよりも難しい作業です。
また、人に教えることによりその知識に対する理解が深まったり、「相手の立場に立つ」という考え方も身につくものです。
定期的に若手が入社してこない職場だと、いつまで経っても人に教えるということが経験できない場合があります。
そんなときは、社内の勉強会や顧客向けセミナーを開催して、その講師を若手に担当させることにより、教える場をつくることができます。
採用が難しいなら育てるしかない
中小企業が若い人材を確保するための環境は、年々厳しくなっています。
若手の採用が難しいなら、せっかく採用できた人材を育てて、戦力化していくしかありません。
人が育って、定着する体制を整えないと、いつか人材難で経営が行き詰まってしまいます。
これだけ経営における人材リスクが高まると、人を採用して育てるという経営自体を見直す時期かもしれません。
いままでと同じことをしていたら、いまより経営が厳しなるのは確かなので、何かしら変えていかなければならないでしょう。
あとは経営者が、目指している組織のあり方に向けて決断をしていくだけだと思います。
編集後記
今日、税理士登録の面接が終わりました。あとは1ヶ月後に無事登録されるのを待つだけです。