お客様に退職の話をすることが増えてきたのですが、話をするたびに「独立はリスクがあるよね」と心配されます。
わたしは、毎回「確かにそうですね」って返事はしていますが、内心は「そうかな?」と思っています。
確かに独立はリスクがある
確かに独立するのはリスクが高いと考えるひとは多いでしょう。
のれん分けで顧客を引き継ぐことができれば収入のリスクは低いでしょうが、いまの時代そんなおいしい話はなかなかありません。
独立のリスクとしては、次のようなことがあげられます。
・収入が安定しない
・すべて自分でやらないといけない
・社会的信用が低くなる
一番気になるのは、収入でしょうね。いままで給料として決まった日に決まった金額が振り込まれていたものがなくなるわけですから。
自己資金で生活していける見込みがあればいいでしょうが、そうでなければ創業融資を受けて半年分くらいは生活の見通しがつくようにしたほうが精神衛生的にいいでしょう。
それから、組織に属していると自分の仕事に専念できますが、独立すると請求書発行や入金確認などの経理業務、備品発注や役所手続きなどの総務業務もすべて自分でやらないといけなくなります。
体調を壊したりケガをしたりして入院すると、すべてのものが止まってしまいます。
いままで以上に体調管理にシビアになる必要があります。
最後の社会的信用が低くなるというのは、クレジットカードや住宅ローンの契約において審査が通りにくくなることです。
事業でクレジットカードを使いたいときは、独立前に準備しておいた方がいいですね。
組織に属しているリスクもある
それでは、組織に属していればリスクが無いかといえば、そうではありません。
組織に属する一番のリスクは、自分で決められないことです。
たとえば、働く場所や時間を自由に選べなかったり、やりたくない仕事を担当することもあります。
経営者が決めたルールで組織は動いているで、そのルールに縛られるのがリスクです。
経営というのは、「100人の経営者がいれば100通りのやり方がある」と言われるように、自分の考えとすべてが一致するものはありえません。
ですから、自分でいろんなことを決めたい人は、組織にずっと属するのは難しいでしょう。
最近は、組織の在り方も変わってきて、働く側がストレスなく仕事ができる環境の整備が進んでいます。
今後、副業などにより働き方の自由度が高まれば、組織に属するリスクを減らせるようになるはずです。
選択する事業でリスクの大きさは違う
独立する事業によってリスクの大きさは変わりますが、「税理士」という仕事は独立に向いていると思います。
なぜ、独立に向いているかというと少ない投資で事業が始められるからです。
事務所を借りたり、人を雇ったり、高い設備を準備したりする必要がありません。
開業するのに必要なものはパソコンと税務ソフトくらいで、他の業種に比べたら初期投資が少ないのが強みです。
やはり固定費を抑えて小さく始められる事業は独立がしやすいです。
他業種に比べたら独立がしやすい業種だからこそ、もっと税理士を目指す人が増えてほしいと思っています。
そして、独立するからには、これから税理士を目指すひとに「税理士の仕事が面白そう」と思ってもらえるような行動をしていこうと考えています。
編集後記
お客様に独立の話をするたびに心配されるので、この記事を書きました。あとは「独立してよかったね」と言ってもらえるよう頑張るだけです。