確定申告の準備をしようとしたら、前年の確定申告書が見つからないという方もいるのではないでしょうか?
確定申告書の控えは、所得の証明書などで利用することがあるため、手元に残しておきたいものです。
この記事では、確定申告書の控えを紛失したときの、閲覧と再発行の手続きについて解説しています。
紛失したときの対処方法
過去の申告書や届出などの控えを紛失したときは、税務署に「閲覧申請」や「開示請求」をすることにより、必要事項の確認や書類の再発行を受けられます。
いままで、どちらの手続きも手間が掛かっていましたが、2019年9月より閲覧申請においてスマートフォンでの撮影が許可されるようになったため、書類の内容を確認するだけであれば閲覧申請を選択しましょう。
したがって、確定申告のために過去の申告書等を確認するだけであれば、税務署に出向いて撮影するだけで必要情報は入手できます。
閲覧申請
「申告書等閲覧サービス」を利用すれば、過去に提出した申告書などを税務署で閲覧することができます。
このサービスは、いままで写真撮影やコピーなどの交付が認められず、その場で閲覧しながら必要事項を書き写す必要があったのが、2019年9月よりスマートフォン等による撮影が可能になりました。(コピーは不可)
写真撮影は、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット又は携帯電話など、その場で写真が確認できる機器に限って認められています。
しかし、動画撮影は、音声が録音される恐れがあるため禁止されています。
また、収受日付印、氏名、住所等については、厚紙やカバーテープ等で覆われて、撮影できないことになっています。
閲覧サービスを利用するには、納税地の所轄税務署に出向いて申請手続きをします。
申請手続きには、本人確認書類と認印が必要となるため、忘れずに持っていきましょう。
※赤枠のところが改正された部分です
申告書等閲覧サービスは、代理人による閲覧も認められています。
たとえば、確定申告を税理士に依頼するにあたって、どの書類が必要なのかが判断できないときは、委任状を作成することにより、税理士が代理で閲覧をすることができます。
代理人が手続きするときは、印鑑証明書と代理人の本人確認書類が必要になります。
閲覧した書類をスマホ等で撮影できるようになったのは、税理士にとっても助かることです。
新しいお客様の過去の申告書や届出は確認しておきたいのですが、もし控えが見つからないときは、税務署へ出向いて手書きで書き写すしかありませんでした。
この非効率な作業が改善されたことは、閲覧者だけでなく、税務職員にとっても事務負担の軽減になります。
所得証明での利用なら再発行
フリーランスや個人事業主が所得を証明するには、直近の確定申告書の控えが必要になります。
申告書等閲覧サービスでは、収受日付印、氏名、住所等については撮影ができないため、すべての情報が印字されている申告書が必要な場合は、再発行の手続きをしなければなりません。
具体的には、次のような手続きで確定申告書の控えが求められます。
- 事業資金の借入
- 住宅ローンの申請
- 教育ローンの申請
- 自動車ローンの申請
- 保育園の入園申請
- 大学の奨学金申請 など
開示請求(再発行)
確定申告書の控えを再発行するには、納税地の所轄税務署に出向くか、郵送で申請手続きをすることになります。
開示請求の手続きには、次のようなものが必要になります。
- 保有個人情報開示請求書
- 本人確認書類
- 住民票
- 印紙(300円)
- 返信用切手(郵送で受け取る場合)
確定申告書の控えは、再発行に1か月くらいを要するため、余裕を持って手続きを進める必要があります。
控えを紛失すると、所得証明が必要な手続きにすぐに対応できないため、控えは大切に保管しておくようにしましょう。
確定申告の準備を始めたら、過去の確定申告書が見つからないというのはよくあることです。
控えの紛失に気付いたら、早めに税務署に出向いて必要な書類をスマホで撮影してきましょう。
もし、確定申告を税理士に依頼するときは、まずは税理士に相談するといいでしょう。
編集後記
昨日は、とある手続きで税務署へ。あとは自宅で資料作成でした。