確定申告で医療費控除を受ける方から、「医療費控除の明細書」の書き方をよく質問されます。
特に、医療費通知を利用するときの記載方法について、わからないことが多いようです。
ここでは、医療費通知の記載事項や、医療費控除の明細書の記載方法について解説します。
医療費控除の明細書
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に、自分や家族のために支払った医療費が一定額を超えるときに、所得控除を受けられる制度です。
そして、医療費控除を受けるには、「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書と一緒に提出することになります。
医療費通知を利用して医療費控除の明細書を作成するには、「1 医療費通知に関する事項」に自己が負担した医療費の金額を記載します。
医療費通知に2019年分の金額しか記載されていないときは、「(1)医療費通知に記載された医療費の額」と「(2)(1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」は同じ金額になります。
もし、医療費通知に記載されていない医療費の領収書があるときは、「2 医療費(上記1以外)の明細」を利用して、領収書の金額を記載します。
たとえば、自己負担が10割の医療費、市販薬の領収書、医療機関への交通費などが、これに該当します。
間違いやすい医療費控除については、こちらで詳しく書いています。
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医療費通知を利用する場合の注意点
医療費通知を利用して医療費控除を受けるときは、次の注意点があります。
① 次の6項目の記載がある「医療費通知」のみ添付書類として利用できます。
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者
- 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
- 被保険者等が支払った医療費の額
- 保険者等の名称
② 医療費通知に記載されていない利用分は、医療費の明細欄に記載します。
自由診療に区分される診療や、薬局での医薬品の購入などは、医療費通知に記載がないため、領収書に基づいて「医療費控除の明細書」へ必要事項を記載する必要があります。
また、医療費通知に10月分までしか記載がないときは、11月と12月分は領収書に基づいて医療費控除の明細書に記載することになります。
なお、医療費控除の明細書へ記載した領収書は、確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
③ 医療機関名等の記載がないときは、領収書に基づいて補完記入をします。
医療費通知の「医療機関名等」の欄に、療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称を記入します。
なお、医療機関名等を補完記入したときは、その領収書を確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
④ 医療費通知の記載額と実際の負担額とが異なるときは、どちらを適用しても構いません。
医療機関の窓口で支払う医療費は、10円未満の金額について端数処理が行われるため、医療費通知の金額と異なることがあります。
このようなときは、医療費控除の申請において、どうちらの金額を使用してもいいことになっています。
⑤ 医療費負担の助成など医療費を補填する金額は、その旨を医療費通知に付記します。
自己負担した医療費の一部について、補填や減免を受けることがあります。
このような場合は、医療費通知に補填や減免を受けた金額を記載をして自己負担額を調整します。
⑥ 医療費通知を利用したときは、医療費通知の原本を確定申告書に添付する必要があります。
確定申告書を書面提出する場合だけでなく、電子申告(e-Tax)を行う際も、別途郵送での提出が必要になります。
⑦ 確定申告書等作成コーナーの医療費集計フォームとの併用はできません。
確定申告書等作成コーナーから医療費通知を利用して医療費控除の明細書を作成するときは、エクセルの医療費集計フォームから領収書の明細をアップロードすることはできません。
この場合は、医療費の領収書を画面上で直接入力することになります。
医療費集計フォームを利用については、こちらで詳しく書いています。
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医療費通知を利用して医療費控除の明細を作成する方法について、まとめてみました。
医療費通知の金額を利用すれば、すべての領収書の明細を記載する手間が省けるメリットがありますが、原本を提出するなどの注意事項がありますので、間違いやすいポイントをしっかり確認しておきましょう。
編集後記
週末は、確定申告の個別コンサルを。最近は、申告書の最終チェックで個別コンサルを利用していただくことが増えました。