相続が発生して、相続人が被相続人の事業を引き継ぐことがあると思います。
それでは、相続人が青色申告をするには、どのような手続きをすればいいのでしょうか?
ここでは、相続で事業を引き継いだときの青色申告承認申請書の提出期限について解説します。
青色申告制度
青色申告制度とは、不動産所得、事業所得、山林所得がある方が、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をした場合に、所得金額の計算などについて有利な取り扱いが受けられる制度です。
たとえば、青色申告特別控除や青色事業専従者給与などといった税務上の特典を受けることができます。
そして、この青色申告の適用を受けるには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
それでは、相続により被相続人から事業を引き継いだときは、いつまでに青色申告承認申請書を提出すればいいのでしょうか?
このあとで、相続人が相続前から事業を営んでいた場合と、相続後に事業を始めた場合とに分けて、青色申告承認申請書の提出期限を確認していきましょう。
相続人が相続前から事業を営んでいた場合
相続人が相続前から事業を営んでいた場合は、相続の発生に関係なく、青色申告承認申請書の提出期限は原則とおりの取り扱いとなります。
したがって、相続が発生した年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出した場合は、その年分から青色申告の適用を受けることができます。
しかし、その提出が3月16日以降であった場合は、その年分は青色申告の適用は受けられず、翌年からの適用になります。
ただし、1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内が青色申告承認申請書の提出期限となるため、その提出期限内に相続が発生したときは、その年分から青色申告が適用されます。
なお、相続人が相続前から青色申告をしている場合は、改めて青色申告承認申請書を提出する必要はありません。
相続人が事業を営んでいなかった場合
相続が発生した際に、相続人が事業を営んでいなかった場合は、被相続人が青色申告の適用を受けていたかどうかにより、青色申告承認申請書の提出期限は異なります。
被相続人が青色申告の適用を受けていた場合
青色申告の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合は、相続開始の時期によって、青色申告承認申請書の提出期限は次のようになります。
- 相続開始の日がその年の1月1日から8月31日
⇒ 相続開始の日から4か月以内 - 相続開始の日がその年の9月1日から10月31日
⇒ 相続開始の年12月31日 - 相続開始の日がその年の11月1日から12月31日
⇒ 相続開始の年の翌年2月15日
被相続人が白色申告であった場合
白色申告者である被相続人の事業を承継した場合は、次のように新たに事業を開始したときと同様の提出期限となります。
- 相続開始の日がその年の1月15日まで
⇒ 相続開始の年の3月15日まで - 相続開始の日がその年の1月16日以後
⇒ 相続開始の日から2か月以内
相続で事業を引き継いだときの青色申告承認申請書の提出期限についてまとめてみました。
被相続人が死亡した日によっては、青色申告承認申請書の提出期限が短くなる場合があるため注意が必要です。
青色申告の申請を忘れて白色申告になると、様々な税務上の特典が受けられなくなるため、忘れずに申請書を提出をするようにしましょう。
編集後記
昨日は、午前中に年末調整の業務をして午後からWeb研修を2つ受講。一日中パソコンの画面を見ていたので目が疲れました。