公的年金

未支給の公的年金は相続財産ではなく一時所得に該当

相続があった場合に、遺族が未支給の公的年金を受け取ることがあります。

この未支給の公的年金は、受け取った方の一時所得になるため、確定申告が必要になるケースがあります。

ここでは、未支給の公的年金を受け取った場合の取り扱いについて解説します。

 

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未支給の公的年金とは

未支給の公的年金とは、亡くなった方が次のいずれかに該当するときに、遺族が受け取ることができる年金のことです。

  1. 公的年金を受け取る前に亡くなったとき
  2. 公的年金を受け取る権利はあったが、請求しないうちに亡くなったとき

 

公的年金は年6回に分けて、偶数月の15日に前月分と前々月分がまとめて支給されます。

このように公的年金は「後払い」形式のため、年金受給者が亡くなると必ず未支給年金が発生します。

 

例えば、10月10日に亡くなった場合は、10月15日に支給される8・9月分の年金と、12月15日に支給予定の10月分が未支給年金となります。

そして、11月10日に亡くなった場合は、12月15日に支給予定の10・11月分が未支給年金となります。

 

したがって、偶数月に亡くなると1か月分又は3か月分、奇数月に亡くなると2か月分が、未支給年金として発生することになります。

 

未支給年金は相続財産ではなく一時所得

未支給年金については、国民年金法において亡くなった年金受給者とともに生計を同じくしていた遺族が、その人の名前でその未支給年金の支給を請求できることになっています。

それでは、遺族が受け取った未支給年金は、相続税の対象になるのでしょうか?

 

これについては、最高裁判決(平成7年11月7日)において、未支給年金は相続財産に該当せず、相続税の課税対象にはならないとされています。

遺族の生活保障を目的として未支給年金の支給が認められていて、未支給年金の請求権が遺族の固有の権利であるため、相続性がないというのが理由のようです。

 

そして、遺族が支給を受けた未支給年金は、所得税基本通達により、遺族の一時所得に該当し所得税の課税対象になります。

死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。

引用元:国税庁HP 所得税基本通達34-2「遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等」より

 

なお、一時所得には50万円の特別控除があるため、特別控除額を超える未支給年金を受け取らない限りは、確定申告をする必要はありません。

ただし、未支給年金以外に一時所得を受け取っている場合は、特別控除額を超える可能性があるため、確定申告が必要となるかもしれません。

 

未支給年金の受け取り

年金を受給している方が亡くなったときに、まだ受け取っていない年金については、未支給年金として生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。

具体的には、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦これら以外の3親等内の親族が未支給年金を受け取ることができ、その順位もこのとおりになります。

 

そして、未支給年金を受け取るには、遺族が年金事務所等に請求手続きを行います。

手続きについては、死亡の届出と一緒に「未支給年金請求の届出」を提出することになります。

未支給年金請求書の様式や必要な添付書類については、日本年金機構のホームページで確認してください。

 

未支給の公的年金を受け取った場合の取り扱いについてまとめてみました。

未支給の公的年金は、受け取った方の一時所得となり、確定申告が必要になる場合があります。

なお、個人が任意で加入する私的年金は、相続財産となるため、混同しないよう注意する必要があります。

 

編集後記

昨日は、個人の月次データのチェックと年末調整に関する業務を。年末が近づいてきたので、個人の方の相談対応などでバタバタしてきました。

 

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