空室

不動産賃貸で空室があるときの減価償却の取り扱い 

不動産の賃貸経営において、空室が発生する場合があると思います。

このように不動産が空室となった期間は、減価償却ができないのでしょうか?

ここでは、空室がある場合の減価償却の取り扱いについて解説します。

 

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不動産賃貸における減価償却

不動産賃貸業を行う場合において、大きな割合を占める経費として減価償却費があります。

これは、建物などの長期にわたって使用する資産が、減価償却という方法により一定期間において分割して費用化されるものです。

 

ただし、減価償却費として経費にできるのは、その建物などが不動産収入を得るのに使用されている場合に限ります。

したがって、業務の開始をしていない場合や、業務を開始していても空室などで使用していない建物などについては、減価償却をすることはできません。

これは、その建物などの減耗、損耗が、業務に結び付くという費用性がないからです。

 

しかし、不動産に空室があって稼働していない場合でも、一定の要件を満たすときは、減価償却費を計上できることになっています。

 

空室がある場合の減価償却

不動産賃貸業を営んでいる場合に、入居者が見つからず空室となることがあると思います。

例えば、新築物件を取得した場合や、入居者が退去した場合に、すぐに空室が埋まらないというケースです。

このように空室があって不動産収入がない場合には、その建物などの減価償却はどのように取り扱えばいいのでしょうか?

新築の物件に空室がある場合

減価償却費は、建物などを事業の用に供したときから、経費として計上することができます。

それでは、新築物件の場合は、いつの時点で事業の用に供したことになるのでしょうか?

これについては、国税庁のタックスアンサーに、次のように示されています。

減価償却資産とは、法人税法施行令第13条に掲げるもので、事業の用に供しているものをいいますが、資産を事業の用に供したか否かは、業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断することになります。(中略)

なお、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、現実の入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられます。

引用元:国税庁HP タックスアンサー「No.5400-2 事業の用に供した日」より

 

このように、新築物件の場合は、入居が開始した時点ではなく、入居者の募集を開始した時点を事業の用に供した日と考えます。

したがって、建物が完成し、入居者の募集を始めて入居が可能な状態であれば、入居が開始する前であっても減価償却費を計上することができます。

 

退去により空室がある場合

賃貸している物件に入居している方が退去して、空室になる場合があります。

そして、退去後に物件のリフォームやクリーニングで、新たな入居者へすぐに賃貸できない期間が発生する場合があります。

この場合、物件を賃貸できない期間の減価償却はどうなるのでしょうか?

 

現に稼働していない物件の取り扱いについては、国税庁のホームページに、次のように示されています。

不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供される令第6条《減価償却資産の範囲》に規定する資産は、現にか動していない場合であっても、これらの業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでもか動し得る状態にあるときは、減価償却資産に該当する。

引用元:国税庁HP 減価償却資産「2-16 現にか動していない資産」より

 

このように、入居者が退去した後に、賃貸するためにメンテナンスが行われており、新たな入居者を募集して、いつでも賃貸できる状態であれば減価償却費を計上することができます。

 

空室がある場合の減価償却の取り扱いについて解説してみました。

空室により不動産収入がなくても、一定の要件を満たすときは減価償却を行うことができます。

そして、空室の期間に減価償却ができるかどうかは、入居者の募集をして、いつでも入居できる状態にあるかで判断することになります。

 

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編集後記

昨日は、Webによる研修受講と税理士会の支部集会でした。あとはfreeeのアドバイザーさんとの打合せなどを。

 

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