不動産

相続により取得した賃貸不動産の減価償却などの取り扱い

不動産賃貸業を営んでいた親族から、相続により事業を引き継ぐことがあります。

このようなときは、その引き継いだ賃貸不動産の減価償却はどのようになるのでしょうか?

ここでは、相続により取得した減価償却資産の減価償却などの取り扱いについて解説します。

 

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相続で引き継いだ減価償却資産の取得価額

相続が発生して、親族が営んでいた不動産賃貸業を引き継ぐときは、賃貸不動産などの減価償却資産も引き継ぐことになります。

このように相続により取得した減価償却資産は、相続した方が引き続きその減価償却資産を所有していたものとみなして取り扱います。

したがって、死亡した方が事業で使用していた減価償却資産の取得価額や未償却残高を、そのまま相続した方が引き継ぎます。

 

また、減価償却の計算においては、取得価額だけでなく、耐用年数や経過年数も引き継ぐことになります。

よって、相続により取得した減価償却資産の耐用年数について、中古資産に係る簡便法により計算することはできません。

 

相続で引き継いだ減価償却資産の減価償却方法

相続により事業を引き継いだときは、減価償却資産の取得価額や未償却残高は引き継ぎますが、減価償却の方法は引き継がれないことになっています。

よって、死亡した方が旧定率法で減価償却の計算を行っていたとしても、その方法を引き継ぐことはできません。

そのため、原則としては、法定償却方法である定額法により償却することとなります。

つまり、相続により取得した減価償却資産は、相続開始日を取得日として償却方法を判断します。

 

もし、法定償却方法以外の償却方法を適用したい場合は、税務署長に減価償却方法の届出書を提出する必要があります

建物や付属設備、構築物は定率法を選択できませんが、車両や器具備品などは、届出によって定率法を選択することができます。

 

減価償却費の計算例

それでは、次の具体例を使って、相続により木造アパートを取得した場合の減価償却費の計算を確認してみましょう。

  1. 取得年月:平成15年1月1日
  2. 取得価額:30,000,000円
  3. 法定耐用年数:22年(旧定額法及び定額法の償却率0.046)
  4. 死亡した日:令和2年2月10日
  5. 死亡した日の未償却残額:8,679,000円

 

死亡した方の減価償却方法は旧定額法になりますが、相続した方は取得日が令和2年2月10日であるため、平成19年4月1日以後に取得した建物の減価償却方法である定額法が適用されます。

そして、死亡した方から木造アパートの取得価額と未償却残高を引き継ぐため、減価償却費の計算は次のようになります。

 

【令和2年分の確定申告における減価償却費の計算】

30,000,000円×0.046×11/12=1,265,000円(未償却残額7,414,000円)

 

なお、相続があった年は、死亡した方の償却月数と相続した方の償却月数の合計が、12か月ではなく13か月になります。

償却月数の1か月未満の端数について切り上げるというルールがあるため、このような計算となります。

 

相続により取得した減価償却資産の減価償却などの取り扱いについてまとめてみました。

減価償却資産を相続により引き継ぐときは、減価償却の方法は引き継がれないため注意が必要です。

特に、旧定額法や旧定率法が適用されていた減価償却資産を引き継ぐときは、減価償却の方法を間違えないようにしましょう。

 

編集後記

昨日は、法人の決算に関する資料のまとめを。あとはfreeeの機能や活用法の学習をしていました。

 

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