4月は、会社員にとっては人事異動で、転勤が多い時期です。
なかにはマイホームを取得したのに、引っ越しをすることになるケースもあるでしょう。
それでは、マイホームを所有したまま転居したときは、住宅ローン控除はどうなるのでしょうか?
ここでは、転勤になった場合の住宅ローン控除の取り扱いについて解説します。
住宅ローン控除の取り扱い
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得等したときに、10年間(又は13年間)にわたり毎年末の住宅ローン残高に応じて所得税が控除される制度です。
この住宅ローン控除の適用を受けるには、マイホームを取得した日から6か月以内に入居して、その年の年末時点においてマイホームに住んでいることが条件になっています。
それでは、マイホームの所有者が、転勤で住むことができなくなったときは、住宅ローン控除の取り扱いはどのようになるのでしょうか?
このあとに、いくつかのケースでそれぞれの取り扱いを見ていきましょう。
単身赴任で家族が居住している場合
所有者が単身赴任になったとしても、その家族がマイホームに引き続き住んでおり、単身赴任が解消されたあとにマイホームに住む見込みであるときは、単身赴任の期間も住宅ローン控除の適用を受けることができます。
ただし、海外への単身赴任で、2016年3月31日以前にマイホームを取得しているときは、「非居住者」は住宅ローン控除の適用は受けられません。
この規定は税制改正され、2016年4月1日以後にマイホームを取得している場合は、非居住者でも住宅ローン控除の適用を受けられるようになりました。
入居した年に家族と共に転居した場合
マイホームを取得して6か月以内に入居はしたけど、その年の年末までの間に転勤によりマイホームに住むことができなくなったときは、その年分については住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
その後、転勤から戻ってきて、再度マイホームに住むことになったときは、その住み始めた年分以後について、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
ただし、住宅ローン控除が受けられる期間は、10年間(又は13年間)から転勤によりマイホームに住んでいなかった期間を除いた残りの期間になります。
入居した年の翌年以降に家族と共に転居した場合
マイホームを取得して住宅ローン控除の適用を受けていた所有者が、転勤によりマイホームに住むことができなくなったときは、転居したあとの年分以後は住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
しかし、再びマイホームに住むことになったときは、再度住宅ローン控除の適用を受けることができます。
ただし、住宅ローン控除が受けられる期間は延長しないため、10年間(又は13年間)のうち残りの期間について、住宅ローン控除の適用が受けられます。
また、再び住宅ローン控除の適用を受ける予定であるときは、転勤によりマイホームに住まなくなる日までに、次の書類を税務署に提出する必要があります。
- 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書
- 未使用分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明」
単身赴任中にマイホームを取得した場合
これは、転勤後にマイホームを取得したケースについての取り扱いになります。
会社員が、単身赴任中にマイホームを取得したときに、取得してから6か月以内にマイホームに入居できないときは、原則として住宅ローン控除の適用を受けることができません。
しかし、その家族が6か月以内に入居して、その年の年末時点においてマイホームに住んでおり、単身赴任が解消されたあとにマイホームに住む見込みであるときは、単身赴任の期間も住宅ローン控除の適用を受けることができます。
この規定は、海外赴任者である非居住者がマイホームを取得したときも、上記と同じように要件を満たしていれば、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
会社員が転勤になったときの、住宅ローン控除の取り扱いについてまとめてみました。
マイホームの所有者が、転勤等でそこに住んでいなかったとしても、一定の要件を満たすときは住宅ローン控除の適用を受けられることがあります。
住宅ローン控除は、適用を受けるための判定に迷うものが多いため、わからないときは専門家に相談することをおすすめします。
編集後記
昨日は、自宅にこもって法人の月次処理と資料整理を。あとは請求書作成などの事務仕事をしていました。