最近は、大手企業だけでなく、中堅企業でも副業を解禁する企業が増えてきた印象を受けます。
しかし、会社員が副業を始める環境は整ってきても、税金について学ぶ機会が不足していると感じています。
副業を考えるなら早めの準備
最近は、会社員の方と話をするときに、「副業制度」の導入状況について確認をしています。
以前は、制度導入に消極的だという回答が多かったですが、最近は導入が解禁になったという話を聞く機会が増えました。
いまは大手企業だけでなく、中堅企業でも導入に前向きなところが増えているようです。
そして、「副業をする予定ですか?」という質問には、多くの方が「制度を利用したい」と回答されます。
若い方を中心に、働き方に対する意識が大きく変わってきていることを感じます。
でも、副業を考えている人に「税金の勉強をしていますか?」と質問しても、「いいえ」という回答しか返ってきません。
さらに、「副業を始めると、確定申告が必要になりますよ」という説明をすると、びっくりされる方もいます。
会社員で自ら確定申告をしたことがない人は、副業により確定申告が必要になることを知らないのでしょう。
会社は副業制度を導入しても、その制度を利用したときの確定申告については、個人の責任に任されています。
ですから、制度導入をした会社向けに、「従業員向けの税金勉強会」という企画を提案したらニーズがあるかもしれません。
税金を学ぶ機会を失っている
個人の所得税については、原則は申告納税制度といって、税金を納める義務のある人が自分で税額を計算して納付することになっています。
しかし、日本には古くから源泉徴収制度が導入されていて、会社員であれば会社が代わりに所得税を徴収して、国に納付をしてくれます。
また、年末調整によって年間の所得を再計算して、所得税の過不足を精算することも、会社がすべて行ってくれます。
国にとっては、この源泉徴収制度のおかげで、効率よく税金を徴収できるメリットがあります。
しかし、源泉徴収と年末調整によって、会社員は税金の仕組みを知る機会を失っていると言われています。
会社員であれば、会社が毎月の所得税の徴収から、年末調整での精算までをすべて代行してくれます。
ですから、多くの会社員が所得税の計算の仕組みを知らないまま、税金だけを納付している状態なのです。
最近は、年末調整が複雑になっていて、会社の事務負担が増えているのが問題となっています。
また、この制度が会社員の納税に対する意識の低さを招いていると、以前から指摘されています。
今後は、マイナポータルを利用して、年末調整の簡素化が進む予定なので、できれば納税者本人が所得税を申告するような流れになることを望んでいます。
まずは自分で確定申告を
わたしは、副業を考えている会社員には、自分で確定申告をすることをすすめています。
自分で確定申告ができるようになれば、所得税の計算の基礎が理解できます。
そして、副業を始める前から税金の知識を身に付けておけば、副業により税金がどの程度増えるかを予測できるようになります。
わたしも独立をする前から、自分の給与収入については、毎年確定申告をしていました。
ふるさと納税をしていたので、ワンストップ特例制度の適用を受けずに、確定申告をして寄附金の控除を受けていました。
自分で確定申告をすると、税金の計算の仕組みがわかり、どうしたら税金が少なくなるかという意識を持ち始めます。
そうすると、iDeCo(イデコ)を始めたり、ふるさと納税の限度額を調べたりと、新たな知識が身に付きます。
2018年分からスマホ(Android限定)で確定申告ができるようになりました。
そして、2019年分からはiPhoneでも確定申告ができるようになります。
スマホで確定申告ができるように、取り組みやすい環境が整っているので、副業を考えている方は、ぜひ確定申告を始めてみてください。
iPhoneによる確定申告については、こちらの記事で書いています。
2020年1月6日より、iPhoneでマイナンバーカードを読み取ってe-Taxの機能が利用できるようになります。それに向けて、iPhoneでマイナンバーカードを読み取れるアプリが公開されています。 スマホによる[…]
編集後記
週末は、ほぼ自宅にこもってお客様の資料作りと読書をしていました。