確定申告相談会

個人事業主の雑収入と雑所得の違いについて解説

フリーランスや個人事業主が事業をしていると、本業以外の収入を得ることがあります。

このような本業以外の収入があったときに、「雑収入」と「雑所得」のどちらで処理をすればいいか迷うことがあります。

ここでは、雑収入と雑所得の違いや、それぞれの取り扱いについて解説します。

 

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本業に付随する雑収入

フリーランスや個人事業主が本業以外の収入を得たときは、その収入が本業に付随するものであれば、事業所得の「雑収入」として計上をします。

基本的には、本業の収入は「売上高」で計上をして、それに付随する収入は「雑収入」で計上することになります。

「雑収入」として処理するかどうかの判断は、本業との関連性です。

 

具体的には、次のような収入が雑収入になります。

現金過不足

現金商売をしていると、レジを締めたときに、伝票上の金額と手元現金が合わないことがあります。

このようなときは、一時的に手元現金と合わせるために、現金過不足という勘定科目で処理をします。

そして、過不足の原因が判明すれば、後日正しい勘定科目に振り替えることになります。

しかし、決算までにその原因が判明しないときは、最終的に現金過不足を雑収入や雑損失といった勘定に振り替えます。

 

貴金属等の売却収入

歯科医院では、患者さんの歯の治療をして、金歯などを回収することがあります。

このような貴金属を、回収業者に売却しているときは、雑収入として計上することになります。

同じように製造業が、鉄くずやスクラップなどを売却したときは、雑収入で処理します。

歯科医院の税務調査では、貴金属の売却収入を必ずチェックをされるので、雑収入の計上漏れがないように注意しましょう。

 

HPなどの広告収入

事業活動において、商品やサービスを紹介するHPやブログを運営していることがあります。

このようなウェブサイトに掲載した広告から得た少額の収入は、雑収入として計上します。

なお、ウェブサイトから広告収入を得ることが本業であって、事業所得として認められるときは、売上として処理することになります。

 

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消費税還付金

消費税の課税事業者に該当するときは、消費税の精算で雑収入の勘定を使うことがあります。

税込経理をしている場合に、受け取った消費税と支払った消費税の差額が還付されるときは、その還付を受ける金額を雑収入に計上します。

 

本業と関係がない雑所得

所得税法では、所得の種類に応じて所得を10種類に区分することになっています。

そして、事業所得や給与所得などの9種類の所得のうち、どれにも属さない所得を「雑所得」として区分します。

したがって、「雑所得」に区分される収入は、本業とは関係がない収入になります。

 

具体的には、次のような収入が雑所得になります。

還付加算金

予定納税を払い過ぎたときに、税務署から税金を戻してもらうことがあります。

この場合には、還付金に対して預けた期間に応じた利息が付いて振り込まれます。

そして、この利息の部分を「還付加算金」といいます。

法人では、この還付加算金を雑収入で計上しますが、個人事業主のときは、「雑所得」で処理をします。

税務署は、還付加算金の金額を把握しているため、雑所得として還付加算金を忘れずに計上しましょう。

 

仮想通貨の運用益

ビットコインをはじめとする仮想通貨の売却又は使用により生じた収益は、「雑所得」となります。

仮想通貨については、売却したときの収益だけでなく、仮想通貨を決済手段として使用したときや、他の仮想通貨と交換したときも収益を認識することとなるため、収益を漏らさず雑所得として計上しなければなりません。

FXや先物取引も雑所得に区分されますが、仮想通貨とは損益通算ができないため、間違えないようにしましょう。

 

ネットショップやアフィリエイト収入

個人事業主でも、新たな収入源を確保するために副業やダブルワークを始める方が増えています。

本業とは別に、ネットショップを運営して商品を販売していたり、アフィリエイトとして広告収入を得ているときは、雑所得として収入を計上することになります。

ここでも、雑所得に区分するかどうかは、事業との関連性をもとに判定します。

 

税金計算の違いについて

雑収入と雑所得では、所得の区分が異なることを説明しましたが、これによって税金の計算にも違いが生じます。

雑収入の所得区分である事業所得が赤字になったときは、損益通算といって他の給与所得などの所得と相殺をすることができます。

一方、雑所得に区分された収入については、収入から経費を引いて赤字になったとしても、他の所得との損益通算ができません。

したがって、本業以外の収入が、雑収入と雑所得のどちらに区分されるかによって、所得の計算が変わることになります。

 

フリーランスや個人事業主が、本業以外の収入を得たときの処理についてまとめてみました。

雑収入と雑所得では、所得の区分に違いが生じるため、取引の内容に基づいて正しく判断する必要があります。

 

編集後記

昨日は、自宅にこもって確定申告を。終わりが見えてきたので一安心です。

 

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