会社員を辞めて独立すると、いままでと手続きが変わるものがあります。
今回は、いままで給与から天引きされていた住民税はどうなるの?というテーマについて書いてみます。
独立後の負担を確認する
個人事業主として独立すると、給料という毎月決まった収入がなくなります。
そして、安定収入がなくなる中で、いままで給与から天引きされていた住民税、年金、健康保険を自分で納付しなければなりません。
給与から天引きされていたときは、あまり気にしていなかった負担も、いざ自分で納付することになると金額の大きさに驚きます。
そして、住民税は独立する時期によって、最後の給与から徴収される金額が異なります。
独立時の住民税の負担を確認した上で、独立する時期を決めるのも大切かもしれません。
住民税の納付方法は2種類ある
住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合算した税金で、前年の所得に対するものを6月から翌年5月にかけて納付します。
その納付先は、納税者が1月1日時点に居住する住所地で、納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
特別徴収
事業主が、従業員の給与から住民税を天引きし、従業員の代りに市区町村へ納付します。
前年の所得から算出された住民税を、12分割して毎月の給与から天引きされます。
普通徴収
市区町村から送付された納付通知書を使用して、自分で住民税を納付します。
6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて納付しますが、4期分をまとめて一括で納付することもできます。
たとえば名古屋市の納付方法は、次の4種類から選ぶことができます。
・窓口納付(金融機関、コンビニ、区役所等)
・口座振替
・スマホ納付(モバイルレジ又はクレジットカード納付)
・電子納税(eLTAX)
参照:名古屋市HP「市税の納付」
この中では、自宅で納付手続きを済ませることができる、スマホ納付が便利でしょう。
退職時期で納付方法が変わる
いつ会社を退職するかによって、住民税の納付方法に違いがでます。
退職時の納付手続きは、会社がすべて行ってくれるので、自分で役所に行く必要はありません。
1月~5月に退職した場合
この期間に退職した場合は、徴収方法が規定で決められていて、納付方法は選択できません。
(1)一括徴収(原則)
退職月から5月分までの住民税を、最後の給与で一括徴収されます。
(2)普通徴収(例外)
退職月の給与が、徴収される住民税よりも少ないときに限り、自分で住民税を納付します。
6月~12月に退職した場合
この期間に退職した場合は、次の3種類の中から納付方法が選択できます。
(1)一括徴収
退職月から翌年の5月分までの住民税を、退職月の給与または退職金から一括で徴収されます。
(2)普通徴収
退職月以降に残っている住民税を普通徴収に切り替えて、自分で住民税を納付します。
一般的にはこの方法を選択して、残りの住民税を分割で納付します。
(3)特別徴収
転職先が決まっている場合は、会社に転職先の情報を伝えて引き継ぎの手続きをすると、次の会社で特別徴収を継続できます。
退職時期によっては、退職時に住民税が一括徴収され、最後の給与が少なくなってしまいます。
また、独立後に前年分の住民税の納付通知書が届いて、あとになって納付負担の大きさを感じることもあります。
会社員のときは給与から天引きされている住民税も、独立後は自分で納付することになるため、計画的に納付の備えをしておく必要があります。
編集後記
事務所勤務が残り1ヶ月を切ったのに、後任の採用が決まりません。業界全体が人材不足なので採用は厳しいと思っていましたが、このまま引き継ぎ作業なしで勤務が終わりそうです。