個人事業主が、お客さんへ販売している商品を、自分や家族で消費することがあります。
たとえば、経営する飲食店でまかないを食べたり、小売店で販売してる商品をプライベートで使用したりするケースです。
ここでは、自分や家族で商品を消費したときの、取り扱いについて解説します。
「家事消費」とは
個人事業主が、お客さんへ販売する商品を、自分で消費することを「家事消費」と言います。
たとえば、パン屋さんを経営する個人事業主が、販売するためのパンを、自分や家族で食べるようなことです。
この場合は、お客さんにパンを販売したのと同じように、売上に計上する必要があります。
お客さんが自分や家族であっただけで、お店としてはパンを売り上げたのと同じことです。
パンを作るための材料代は、お店の経費になっているので、家事消費分を売上に計上しないと、経費だけが発生したことになってしまいます。
家事消費については、税務調査でチェックされやすい項目なので、売上への計上を忘れないことです。
家事消費の計上額は
個人事業主が、お客さんへ販売する商品を家事消費したときは、売上に計上しなければなりません。
それでは、家事消費を売上として計上するときは、金額はいくらにすればよいのでしょうか?
家事消費の金額は、原則としてその商品などの通常の販売価額になります。
しかし、仕入価額(仕入価額が通常の販売価額のおおむね70%の金額よりも低いときは、通常の販売価額の70%の金額)で計算しても差し支えないことになっています。
つまり、次のうちのいずれか高い金額を、家事消費による売上とすることができます。
- 商品の仕入価額
- 通常の販売価額の70%
たとえば、商品の仕入価額が5,000円、通常の販売価格が10,000円の場合
- 商品の仕入価額 ⇒ 5,000円
- 通常の販売価額の70% ⇒ 10,000円×70%=7,000円
この場合は、7,000円(>5,000円)が家事消費の金額になります。
そして、この家事消費の売上を仕訳にすると、次のようになります。
事業主貸 7,000 円 / 家事消費 7,000円
消費税の取り扱い
個人事業主が、家事消費した商品は、消費税の計算において課税売上として計上します。
家事消費を売上に計上するのは、所得税の取扱いと同じですが、売上金額の求め方は、所得税と消費税では異なります。
消費税の計算では、次のうちのいずれか高い金額を、家事消費による売上とすることができます。
- 商品の仕入価額
- 通常の販売価額の50%
家事消費とする金額が、所得税では通常の販売価額の70%ですが、消費税では通常の販売価額の50%となっています。
所得税と消費税では、少し取り扱いが異なるため注意が必要です。
個人事業主の家事消費について、取り扱いをまとめてみました。
家事消費については、税務調査でチェックされやすいので、自分や家族が消費したものは、忘れずに売上に計上しておきましょう。
編集後記
週末は、セミナー開催と税理士会の無料相談会でした。相談会の対応にも慣れてきましたが、決められた時間内で対応するのが難しい相談のときは、途中で時間切れになってしまうのが残念です。