新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収入が大幅に減少した事業者を対象として、社会保険料や労働保険料の納付猶予の特例が創設されています。
特例の対象となる事業者は、申請により社会保険料や労働保険料の納付を1年間猶予することができます。
ここでは、社会保険料や労働保険料の納付猶予の特例について解説します。
社会保険料・労働保険料の納付猶予の特例
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業等に係る収入に相当の減少があった事業主は、申請により社会保険料と労働保険料の納付を、1年間猶予することができます。
また、この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、 延滞金もかかりません。
◆納付猶予の要件
納付猶予の特例は、以下のいずれの要件も満たす事業者が対象となります。
- 新型コロナウイルスの影響により、2020年2月以降の任意の期間(1か月以上 )において、 事業に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること
- 社会保険料・労働保険料を一時に納付することが困難であること
- すでに申請書を提出していること
◆猶予対象となる保険料等
2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する、社会保険料・労働保険料が対象となります。
なお、すでに納期限が過ぎている社会保険料は、2020年6月30日までの申請により遡って特例を利用できます。
◆申請期限
【社会保険料】
指定期限までに申請が必要です。
※「指定期限」は毎月の納期限からおおよそ25日後。
【労働保険料】
納期限までに申請が必要です。
※2020年2月1日から2020年6月30日までの納期限分は、2020年6月30日までに申請。
※全期・第1期分については、延長後の2020年8月31日までに申請。
◆申請方法
【社会保険料】
管轄の年金事務所に「納付の猶予(特例)申請書」を提出します。
【労働保険料】
所管の都道府県労働局に「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」を提出します。
申請書の記載方法等については、以下のホームページにて確認してください。
【社会保険料】:日本年金機構ホームページ
【労働保険料】:厚生労働省ホームページ
労働保険の年度更新期間の延長
新型コロナウイルス感染症の影響により、労働保険料等の年度更新期間が延長されました。
【申告期限】
従来 | 延長後 |
2020年6月1日~2020年7月10日 | 2020年6月1日~2020年8月31日 |
【納付期限(全期・第1期)】
従来 | 延長後 |
2020年7月10日 | 2020年8月31日 |
延納(分割納付)をしている場合の第2期以降の納期限については、従来どおりとなります。
なお、社会保険の算定基礎届については、提出期限の変更はないため、7月1日から7月10日までに手続きをすることになります。
社会保険料や労働保険料の納付猶予の特例についてまとめてみました。
事業者の方で、国税や地方税の納税猶予は知っていても、社会保険料や労働保険料の納付猶予は知らなかったというケースがよくあります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りが悪化している事業者は、納付猶予の特例を検討してみるといいでしょう。
編集後記
昨日は、納期の特例関係の業務をコツコツと。夕方からは税理士会の集まりで食事をしながら打合せを。