2019年10月の消費税増税と同時に始まったキャッシュレス・ポイント還元制度が、6月30日で終了となります。
この制度に加盟している事業者は、事前にキャッシュレス決済手数料の変更内容を確認しておく必要があります。
キャッシュレス・ポイント還元制度の終了まで1か月を切りましたので、そろそろ制度終了後に向けての準備を進めておきましょう。
キャッシュレス・ポイント還元事業の実績
キャッシュレス・ポイント還元事業とは、中小・小規模事業者におけるキャッシュレス手段を使った決済に関して、決済端末導入費や、決済手数料の一部、および消費者への還元分を国が補助し、キャッシュレスの推進を支援する事業です。
この事業に加盟している店舗を利用した消費者は、キャッシュレス決済により最大5%の還元が受けられます。
6月1日に発表された経済産業省の資料によると、発表時点での加盟店登録数は約115万店で、その内訳は次のようになります。
- 5%還元対象の中小・小規模事業者(個店):約105万店(約91%)
- 2%還元対象のフランチャイズチェーン(コンビニ以外):約5.2万店(約5%)
- 2%還元対象のコンビニ:約5.5万店(約5%)
そして、エリア別の人口1人当たりの加盟店登録数は、沖縄、北海道、近畿の順となっています。
また、2019年10月1日から2020年3月9日までの対象決済金額は約6.9兆円、還元額は約2,830億円で、その内訳は次のようになります。
- 5%還元対象の中小・小規模事業者(個店):約2,440億円(約86%)
- 2%還元対象のフランチャイズチェーン(コンビニ以外):約90億円(約3%)
- 2%還元対象のコンビニ:約300億円(約11%)
さらに、対象決済金額に占めるキャッシュレス決済手段の内訳は、次のようになっています。
2019年10月1日から始まったキャッシュレス・ポイント還元事業ですが、2020年6月30日をもって終了となります。
事業者は手数料の変更内容を確認
キャッシュレス・ポイント還元事業の加盟店である事業者(フランチャイズチェーンを除く)は、キャッシュレス決済の手数料が実質2.17%以下に引き下げられています。
また、QRコード決済については、決済手数料を無料にするキャンペーンを実施している決済事業者が多いため、決済手数料を負担せずに利用している事業者が多くいます。
このキャッシュレス決済の手数料が、キャッシュレス・ポイント還元事業の終了と共に、値上げとなる決済事業者があります。
経済産業省は、7月にキャッシュレス決済事業者の手数料をリスト化して公表することを発表していますが、事前に決済事業者に手数料の値上げについて確認しておいた方がいいでしょう。
キャッシュレス決済の手数料が値上げになれば、その分だけ事業収益への影響がでてきます。
決済手数料の負担が増えるようであれば、利用するキャッシュレス決済手段を絞り込むことも検討してみましょう。
2020年9月1日からマイナポイント開始
キャッシュレス・ポイント還元事業の終了による景気の落ち込みを防ぐために、2020年9月1日から「マイナポイント」の導入が予定されています。
マイナポイントとは、マイナンバーカードを取得した方を対象に、キャッシュレス決済のチャージに対して、国からポイントが還元される制度です。
マイナポイントは、2020年9月から2021年3月末までの期間限定で、20,000円分のチャージに対し1人あたり5,000円分(還元率は25%)が付与されます。(上限5,000円)
また、キャッシュレス・ポイント還元事業の終了が近づくにつれて、キャッシュレス決済事業者のキャンペーンが増えてきました。
しばらくは、消費者にキャッシュレス決済を使い続けてもらうようなキャンペーンが続きそうです。
6月30日で終了となる、キャッシュレス・ポイント還元事業についてまとめてみました。
新型コロナウイルス感染症の影響で業績が落ちている事業者は、決済手数料が値上げとなると、さらに事業収益の確保が厳しくなります。
この事業に加盟している事業者は、早めに7月以降の決済手数料を確認して、どのキャッシュレス決済手段の利用を継続するかを検討してみるべきでしょう。
編集後記
昨日は、個人事業主へfreeeの導入支援を。簿記の知識がある方への支援だったので、スムーズに導入設定を終えることができました。やはりクラウド会計を使うなら、ある程度の簿記の知識は持っていた方がいいですね。