新型コロナウイルス感染症の影響により、コンサートやマラソン大会などのイベントが中止になりました。
そこで、イベント主催者を救済するために、チケット代を払い戻さずに「寄附」をすることによって、税優遇が受けられる制度が創設されました。
ここでは、チケット代を寄附したときの寄附金控除について解説します。
チケット代の寄附による税優遇
新型コロナウィルス感染症に関する自粛要請により、文化芸術・スポーツイベントが中止等された時に、そのチケットの払い戻しを受けないことを選択した方は、その金額分を「寄附」と見なし、税優遇を受けられる制度が創設されました。
これは、「寄附」を利用して、応援するチーム・アスリートやアーティストなど、文化芸術・スポーツにかかわる方々を支援するための制度です。
この制度の対象となるイベントは、次の要件を満たして、文化庁又はスポーツ庁に指定されたものに限ります。
- 文化芸術又はスポーツに関するものであること。
- 2020年2月1日から2021年1月31日までに開催された又は開催する予定であったものであること。
- 不特定かつ多数の者を対象とするものであること。
- 日本国内で開催された又は開催する予定であったものであること。
- 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に中止等されたものであること。
- 中止等の場合には、入場料金・参加料金等の対価の払戻しを行う規約等があるもの又は現に払戻しを行っているものであること。
そして、この制度では、1人当たり年間20万円までのチケット代が税優遇の対象となります。
それでは、この制度を利用した寄附金控除の手続きについて確認してみましょう。
寄附金控除の手続き
寄附金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、特定寄附金を支出した場合に所得から控除できる制度です。
また、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて税額控除を選択することができます。
そして、新型コロナウィルス感染症の影響によりイベントが中止等となった場合において、チケット代について寄附金控除を適用するための手続きは、次のようになります。
- イベントが寄附金控除の対象となるかを確認
- チケットの払い戻しを受けない旨を通知し、2種類の証明書を取得
- 確定申告にて寄附金控除を適用
1.イベントが寄附金控除の対象となるかを確認
チケット代について寄附金控除が適用されるのは、2020年2月1日から2021年1月31日までに開催予定であったイベントで、文化庁又はスポーツ庁に指定されたものに限ります。
したがって、まずはチケットを購入したイベントが、寄附金控除の対象となるかを文化庁・スポーツ庁のホームページ、又はイベント主催者のホームページで確認しなければなりません。
2.チケットの払い戻しを受けない旨を通知し、2種類の証明書を取得
イベントが寄附金控除の対象となることが確認できたら、イベント主催者が指定する方法によって、チケット代の払い戻しを受けない旨を伝えます。
そして、イベント主催者から「指定行事証明書」と「払戻請求権放棄証明書」の2種類の証明書を発行してもらいます。
3.確定申告にて寄附金控除を適用
確定申告において、寄附金の所得控除又は税額控除を適用し、「指定行事証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を添付して税務署に提出します。
なお、寄附金控除の対象となる金額は、年間20万円までのチケット代になります。
もし、すでにチケット代の払い戻しを受けていたとしても、イベント主催者にその払い戻し分を寄附する旨を伝えて、その後に寄附をすれば、寄附金控除の対象となります。
また、寄附金控除において税額控除を適用したときの計算は、次のようになります。
イベントのチケット代の払い戻しをせずに寄附をした場合の税優遇についてまとめてみました。
楽しみにしていたイベントが中止となって、残念な思いをしている方は多くいると思います。
その気持ちはイベント主催者も同じだと思いますので、この寄附金控除の制度を利用してイベント主催者を支援をしてみてはどうでしょうか。
編集後記
エントリーを予定していた金沢マラソンやいびがわマラソンが開催中止となり、みえ松坂マラソンもエントリーの受付が延期となっています。今年のマラソンシーズンは開催される大会が少なくなりそうで残念です。