最近は、自分で確定申告に取り組むフリーランスや個人事業主の方が増えてきました。
また、開業したばかりの方からは、「どうしたら自分で確定申告ができますか」という質問をよく受けるようになりました。
これから自分で確定申告に取り組みたいという方は、まずは毎日経理を習慣づけるところから始めてみてください。
まずは毎日経理から
フリーランスや個人事業主の確定申告は、簡単にいうと1年間の事業活動に関する取引から所得(利益)を確定し、その所得にかかる税金を計算して、それを申告納付するという手続きになります。
確定申告の手続きを分解すると3つのステップに分かれます。
- 所得(利益)を計算する
- 税金を計算する
- 申告して税金を納付する
そして、この3つのステップの中で時間を要するのが、所得を計算することです。
どうして時間を要するかというと、その計算のもとになるのが、日々の事業活動における取引だからです。
「売上が〇〇円だった」「交通費で〇〇円支払った」といった日々の取引を、1年分集計しなければなりません。
ここでポイントとなるのが、日々の取引をいつ処理をするかということです。
経理の処理というのは、溜まれば溜まるほど見るのがイヤになって、取り組むのが億劫になります。
そして、そのまま放置しておくと、確定申告の申告期限ギリギリになって、税理士に慌てて助けを求めることになります。
このような状況にならないために取り組むのが、「毎日経理」です。
経理というのは、面倒なことなので、溜めずに少しづつ処理するのが一番いい方法です。
自分で確定申告に取り組むのなら、まずは「毎日経理」を始めてみてください。
毎日経理のメリット
毎日経理をおすすめする理由は、次のようなメリットがあるからです。
- 前日のことなら覚えている
- 少しの時間で処理が終わる
- 現状がタイムリーに把握できる
- 節税のための行動が間に合う
- 新しい仕組みにチャレンジできる
前日のことなら覚えている
わたしは、前日のレシートを翌日の朝一番で処理するようにお客様に提案しています。
前日に支払ったものであれば、それが事業に関連するかどうかはすぐにわかります。
ですから、レシートの判断に悩むことなくサクサク処理ができて時間がかかりません。
また、翌日に処理をしてしまえば、レシートを失くすリスクも減らせます。
毎日経理のメリットは、経費となるレシートを漏らさず処理ができることです。
これをきっちり繰り返すだけで、1年間に経費として計上できる金額は変わります。
少しの時間で処理が終わる
毎日経理をしていると、処理するのは1日分だけなので、短い時間で経理が終わります。
前日のレシートであれば、内容もしっかり覚えているので、経費にできるか迷いません。
一方、レシートを溜めてしまうと、ひとつひとつの内容を思い出しながら処理をすることになります。
何か月も前のレシートになると、それが事業に関連する支払いだったのかを思い出すのも大変です。
ですから、経理にかかる時間以外に、思い出すという余分な時間がかかってしまいます。
しかし、毎日少しづつ処理をしていれば、この思い出すという時間はかかりません。
できるだけ少ない時間で終わらせたいなら、毎日経理を習慣づけることです。
現状がタイムリーに把握できる
経理というのは、税金を計算するのが本来の目的ではなく、「経理」が「経営管理」の略であるように、経営状態を管理するために行うものです。
ですから、自分の事業がいまどんな状態なのかを把握するために、毎日経理は大切なことです。
経理を後回しにして、「前年より売上が増えていそうだから、多分利益も伸びているだろう」といったように、感覚だけで事業をしていては、事業の戦略を立てることはできません。
また、事業で資金が必要になったときに、現状を把握できていなければ、金融機関は相談には乗ってくれません。
金融機関などの対外的な信用を得るためにも、経営状態が管理できるように毎日経理に取り組みましょう。
節税のための行動が間に合う
毎日経理をしていれば、早い段階で決算の損益予測をすることができます。
そして、利益が出ることがわかれば、次のような節税対策に取り組めます。
- 小規模企業共済
- 国民年金基金
- iDeCo(イデコ)
しかし、経理を溜めてしまうと、年末近くになっても利益の予測ができないため、結果として節税対策が間に合わなくなってしまいます。
節税対策の相談を受けても、きっちり経理をしている方には提案ができますが、経理の処理がルーズな方には対応ができなくなってしまいます。
新しい仕組みにチャレンジできる
最近は、クラウド会計ソフトを使用して経理をしたいという方が増えています。
ネットバンキングやクレジットカードの明細を自動で取り込めるので、上手く使えば経理を効率化することができます。
フリーランスや個人事業者が会計ソフトを導入するタイミングは、新たな年が始まる1月からです。
このような新たな仕組みへのチャレンジも、日々の経理が順調に進んでいれば、比較的スムーズに移行ができます。
一方、経理を溜め込んでいると、年が明けても前年の処理に追われてしまい、新たな仕組みを導入できる状況にはなりません。
やっと確定申告が片付いたと思ったら、今度は年明けからの経理が溜まっていて、その処理に追われるという悪循環が繰り返されます。
こんな状況では、会計ソフトを導入しても効率化には結びつかずに、途中で会計ソフトの運用がストップするのは確実です。
毎日経理をおすすめする理由をまとめてみました。
わたしも毎日朝一番で自分の経理に取り組んでいます。
経理は溜め込むと処理するのが億劫になるので、毎日ちょっとずつ処理するようにしています。
そして、毎日処理していればそんなに時間がかかるものではありません。
自分で確定申告に取り組むために、まずは毎日経理を始めてみてください。
編集後記
昨日は、レジシステムの研修に参加してきました。新たな機能が定期的にリリースされるので知識のアップデートは必要です。