最近、建設現場においてドローンを活用して撮影や測量を行うことが増えています。
このような空撮用に取得したドローンは何年で償却をすればいいのでしょうか?
ここでは、空撮用ドローンの耐用年数について解説します。
航空法ではドローンは無人航空機
趣味やビジネスにおいて、遠隔操作や自動操縦によって飛行するドローンを活用して、写真撮影などを行う利用者が増えています。
このドローンは、航空法では「無人航空機」に分類されて、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満は除く)」と定義されています。
そして、無人航空機に該当するドローンは、一部のエリアや条件においては飛行させるのに許可が必要になります。
ドローンによる空撮といえば、美しい景色の撮影を想像すると思いますが、建設現場において高所の撮影や測量などで活用されることが増えています。
それでは、建設現場の空撮用に取得したドローンは、税法における耐用年数の適用上でも「航空機」に該当するのでしょうか?
これについては、国税庁の質疑応答事例に、税法上の「航空機」は「人が乗って航空の用に供することができる飛行機など」であると示されていて、人が乗れないドローンは「航空機」には該当しないことになっています。
空撮用ドローンの耐用年数は5年
国税庁の質疑応答事例には、航空法上の「無人航空機」に該当するドローンで、空撮専用の仕様(カメラの着脱は可能)のものに関する、耐用年数の判定が取り上げられています。
この事例で紹介されているドローンの用途は、空撮した画像を解析ソフトに落とし込み、施工時の無人重機の動作制御やその施工結果の確認等のために使用するものです。
そして、国税庁の回答によると、このような空撮用に取得したドローンは、「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当し、その耐用年数は5年になると判定されています。
その理由としては、ドローンの規模、構造、用途等を総合的に勘案すると、空中から写真撮影することが主たる目的で、写真撮影機能に移動手段を取り付けたものであるため、その主たる機能は写真撮影であるからということです。
なお、カメラが内蔵されたドローンであっても、その規模、構造、用途等が同様であれば、その耐用年数は同様に5年となるようです。
「規模」「構造」「用途」によって判定
ドローンの用途は、撮影用だけに限らず様々な分野において活用が急速に広がっています。
先ほどの質疑応答事例では、空撮用のドローンは器具備品に該当し耐用年数は5年となりましたが、すべてのドローンが耐用年数が5年ということではありません。
基本的には、ドローンの規模、構造、用途等を総合的に勘案して耐用年数を判定することになります。
例えば、農薬散布用のドローンであれば、「機械装置」の中の「農業用設備」に該当し、耐用年数は7年になるものと考えられます。
また、最近ではドローンを活用した宅配サービスの実証実験が行われていますが、運搬用であれば「機械装置」の「運輸に附帯するサービス業用設備」に該当し、耐用年数は10年になりそうです。
現状では、ドローンの資産区分は「機械設備」か「器具備品」のどちらかに区分され、その「規模」「構造」「用途」によって個別に判定することになります。
空撮用ドローンの耐用年数についてまとめてみました。
今後も、物流や災害救助といった幅広い分野において、ドローンの活用が期待されています。
事業においてドローンを所有する場合は、その資産区分を規模や構造、用途によって適切に判断するようにしましょう。
編集後記
昨日は、法人の顧問先の月次チェックを中心に。あとは年末調整に関する業務や資料整理をしていました。