新型コロナの影響により、安全資産である金の価格が高騰しました。
価格が高いうちに、家で眠っている金を売却しようと考えている方もいるでしょう。
ここでは、金の売却で利益が出たときの申告について解説します。
金を売却して利益が出た場合
新型コロナの影響により金の価格が高騰し、2020年8月には40年ぶりに最高値を更新しました。
その後、少し価格が下がりましたが、価格が高いうちに所有している金の売却を考えている方もいるでしょう。
会社員などの一般の方が、所有する金を売却して利益が出たときは、原則、譲渡所得として課税の対象となり、給料など他の所得と合わせて確定申告をすることになります。
譲渡所得の金額の計算
譲渡所得の金額については、所有期間が5年以内のものを短期譲渡所得、5年を超えるものを長期譲渡所得として、それぞれ次のように計算します。
短期譲渡所得は、譲渡益から特別控除額(50万円)を控除した全額が課税の対象になりますが、長期譲渡所得については、課税の対象が2分の1になります。
【所有期間が5年以内の場合】
売却価額-(取得価額+売却費用)-50万円=課税譲渡所得金額
【所有期間が5年超の場合】
{売却価額-(取得価額+売却費用)-50万円}×1/2=課税譲渡所得金額
なお、譲渡所得の特別控除額は、譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。
また、所有期間が5年以内と所有期間が5年超の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合せて50万円が限度となり、所有期間が5年以内の譲渡益から先に控除します。
取得価額の算出方法
譲渡所得を計算する上で、売却価額から控除する取得価額は、金の購入代金に購入手数料などを含めた金額になります。
そして、売却時に支払った手数料なども売却費用として、売却価額から控除できます。
もし、売却した金の購入価額が不明なときは、売却価額の5%相当額が取得価額となります。
この場合は、譲渡所得の計算において不利になるため、金を購入したい際には領収書などの書類を大切に保存しておくことが必要です。
譲渡所得以外の所得として課税される場合
先ほど、金を売却して利益が出たときは、原則、譲渡所得として課税の対象となるという説明をしました。
しかし、営利を目的として継続的に金の売買をしている場合は、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得又は雑所得として総合課税の対象になります。
その場合は、総収入金額から金の売買に要した必要経費を控除して、課税所得金額を計算します。
また、事業所得の計算において損失が生じたときは、一定の順に従って、他の所得金額から控除できます。
もし、控除できない損失の金額が残る場合は、青色申告をしている個人事業主であれば、翌年以降3年間に渡って損失を繰り越すことができます。
なお、雑所得の計算において損失が生じたときは、他の所得金額から控除はできません。
しかし、他に雑所得がある場合にのみ、その範囲内で損失を控除することはできます。
金の売却で利益が出たときの申告についてまとめてみました。
金の価格は最高値から少し下がりましたが、まだまだ高値で推移しているため、このタイミングでの売却を検討している方もいるでしょう。
金を売却して利益が出たときは、確定申告が必要になるため忘れずに申告をするようにしましょう。
編集後記
昨日は、顧問先と決算に関する打合わせを。今期の着地予想と来期に向けた活動計画のすり合わせを行いました。