個人事業主が、生計を一にする親族が所有する建物を使用して事業を行う場合があります。
この場合に、個人事業主がその親族に家賃を支払った場合には必要経費になるのでしょうか?
ここでは、生計を一にする親族への支払いに関する取り扱いについて解説します。
生計を一にする親族への支払いは経費にならない
所得税法では、生計を一にする親族に対する支払いは、必要経費に算入できないという規定があります。
ですから、個人事業主が生計を一にする親族が所有する建物を使用して事業を行っている場合に、その親族に支払った家賃は必要経費にすることはできません。
そして、その家賃を受け取った親族も、家賃を収入として取り扱わないことになっています。
このように、生計を一にする親族間で対価の収受があったとしても、その収受がなかったものとして、それぞれの所得には影響させないことになります。
これは、生計を一にする親族間であれば財布は一緒であり、その中でお金が移動しているだけだからです。
生計を一にする親族が負担した支出は経費にできる
先ほど、生計を一にする親族に支払う家賃は必要経費にならないという説明をしましたが、その親族が負担した支出は必要経費に算入することができます。
たとえば、生計を一にする親族が所有する建物の減価償却費、固定資産税、修繕費や火災保険料のうち、事業として使用している部分については、個人事業主が負担したものとして必要経費になります。
このように、個人事業主の事業に関連する経費を生計を一にする親族が負担しているときは、個人事業主の必要経費にしていいことになっています。
生計を一にする親族への支払いが経費となる例外
個人事業主が生計を一にする配偶者や親族に支払った給与は、原則として必要経費にはなりません。
ただし、一定の要件を満たすときは、必要経費にすることができることになっています。
そして、例外として必要経費への計上が認められるのが、「青色事業専従者給与」になります。
青色事業専従者給与
個人事業主が青色申告者の場合において、事前に「青色事業専従者給与に関する届出」を税務署に提出することで、生計を一にしている配偶者その他の親族に支払った給与を必要経費にすることができます。
また、個人事業主が白色申告の場合、専従者への給与は経費になりませんが、「事業専従者控除」という特例が認められています。
事業専従者控除
個人事業主に、事業専従者である親族がいる場合には、確定申告書に控除を受ける金額を記載することで、配偶者の場合には86万円(配偶者以外は専従者一人につき50万円)を所得から控除することができます。
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生計を一にする親族への支払いに関する取り扱いについて解説してみました。
個人事業主が生計を一にする配偶者や親族へ支払ったものは、原則として必要経費にはなりません。
ただし、生計を一にする親族が代わりに負担している支出や、青色事業専従者に給与として支払ったものは必要経費にすることができます。
編集後記
昨日は、顧問先との打合せ資料の作成を。あとは個人の月次入力などで家に籠っての仕事でした。