フリーランスが、開業の準備にあたって支出するものを「開業費」といいます。
どのようなものが開業費に該当して、どのように経費にするのかを理解しておきましょう。
開業費になるものは
フリーランスが、開業準備のために支払ったものは、開業前だからといって経費にならないわけではなく、事業に関連する支出であれば開業後の経費にすることができます。
そして、次のようなものが開業費に該当します。
・名刺やチラシの広告宣伝費
・セミナーの参加費
・事務所の賃借料
・電話やネットの通信費
・電気、ガス、水道代
・打合せの飲食費や交通費 など
しかし、開業前の支出でも、一部のものについては開業費にならないものがあります。
たとえば、10万円以上の固定資産、仕入れた商品、そして事務所の敷金や保証金などは開業費にはならないので注意が必要です。
固定資産については、資産に計上したうえで、その資産に係る耐用年数によって減価償却をして費用化します。
また、いつからの支出が開業費になるのかについては明確な規定がありません。
常識的な範囲内で考えてると、開業の半年前くらいまでの支出を費用として処理するのがいいでしょう。
そして、開業費として処理をするなら、その支出の証拠となる領収書の保管が必要になります。
開業費の償却とは
開業のために支出した領収書は、いつ、どこで、何のために、いくら支出したかをエクセルに入力しておきます。
そして、開業時にそれまでの支出額を集計して、「開業費」として処理します。
開業費という科目名なのですぐに費用にできそうですが、この科目は次のように繰延資産として一旦資産に計上します。
開業費 200,000円 / 事業主借(又は元入金) 200,000円
繰延資産に計上したあとは、開業費の償却は任意であるため、好きなときに好きなだけ費用にすることができます。
つまり、一度にすべてを費用にすることができますし、何年かに渡って費用にしても構いません。
・一度にすべてを償却
開業費償却 200,000円 / 開業費 200,000円
・5年に渡って償却
開業費償却 40,000円 / 開業費 40,000円
開業費は、いつでも償却できるので便利なものです。
まとめて償却をするなら、所得が多くなって税額が増えたときに、経費にするといいでしょう。
開業を決めたら早めに相談を
フリーランスで事業を始めた方とお話すると、開業費のことを知らない方が時々います。
すぐに開業前の領収書を探してもらいますが、たいてい見つからなことが多いです。
ネットで購入したものは、あとから領収書がダウンロードできますが、現金で購入したものは領収書を処分してしまうと証拠がなくなってしまいます。
はじめて事業をする方は、経理や税金ことをあまり知らないため、いろんな失敗は起こりやすいものです。
そして、開業準備でバタバタしていると、経理のような面倒なことは後回しになりがちです。
でも、そのままほったらかしにしておくと、開業後も経理が手つかずになってしまうので、できれば開業を決めた時点で専門家からアドバイスを受けるといいでしょう。
最初に、やるべきことや注意すべきことがわかっていれば、大きな失敗は起こらないはずです。
せっかく経費にできるのに、その処理を知らずに見過ごすのは、もったいないことです。
経費の計上もれなどで損をしないためにも、おおまかな処理の流れを知っておくのは大切です。
編集後記
昨日は、税理士会の研修を自宅でWeb受講しました。自宅で受講できて便利ですが、それ以上に会場で配布される紙のテキストがPDFでダウンロードでき、ペーパーレスなのが何よりも嬉しいことです。