フリーランスや個人事業主の方から、帳簿をつけるときの「勘定科目のルール」について質問を受けることがあります。
いろいろある勘定科目から何を使えばいいのか悩む方が多いのでしょう。
結論から言うと、勘定科目に明確なルールがあるわけではありません。
自分が使いやすいようにルールを決めて、それを使い続ければ大丈夫です。
勘定科目に明確なルールはない
フリーランスや個人事業主の方が帳簿づけを始めると、経費の処理において、どの勘定科目を使えばいいか悩むものです。
でも、法的なルールは無いので、経費科目であれば、どんな勘定科目を使っても大丈夫です。
勘定科目を間違えて経理したからといって、何か罰則があるわけではないので心配しないでください。
たとえば、「通信費」になるものを「消耗品費」と処理しても問題ありません。
経費科目同士の間違いであれば、最終的な利益に影響はなく、どちらで処理しても支払う税金は同じになります。
しかし、本当なら「固定資産」に計上すべきものを、「消耗品費」として処理するのは、損益が正しく示されなくなるため、この処理の仕方は間違いなので注意してください。
つまり、どんな勘定科目を使ってもいいというのは、経費に該当するものであれば、経費科目のうち何を使ってもいいという意味です。
自分でルールを決めるにしても、何かしら参考になるものがあった方がルールが決めやすいため、国税庁HPに掲載されている例を紹介しておきます。
国税庁HPで公開されている「帳簿の記帳のしかた」には、次のように経費ごとに具体例が一覧で示されています。
引用元:国税庁HP「帳簿の記帳のしかた」より
具体例のうちの、「繰延資産の償却」と「固定資産等の損失」以外の18個の項目は、青色申告決算書にすでに印字されている勘定科目なので、まずはこの18個の勘定科目に分類できるようにルールを決めて運用するといでしょう。
同じルールで使い続ける
勘定科目のルールは自由に決めて問題ありませんが、大切なのは一度決めたルールを頻繁に変更しないことです。
たとえば、先月はガソリン代を「旅費交通費」で処理したけど、今月は「消耗品費」で帳簿をつけたというのは、よろしくない例です。
これでは、あとから振り返ったときに、毎月ガソリン代をどのくらい使用しているかを確認できなくなってしまいます。
帳簿づけをするのは、税金の計算だけでなく、経営状態の分析という目的もあります。
同じルールで運用していれば、前月と今月や、前年と今年の帳簿を比べて、経営状態の分析をすることができます。
正しい比較をするためには、自分で決めたルールを簡単に変えずに、常に同じ処理を続けることが大切です。
それから、税務調査での印象を考えても、同じルールで運用をしておくべきです。
勘定科目のルールが適当で、使用する勘定科目がコロコロ変わっている帳簿は、印象がいいものではありません。
税務調査で勘定科目が適当に設定されている帳簿を見られると、経理の処理も適当だろうという悪い印象を与えてしまいます。
6個まで自由に設定できる
帳簿をつけるのに、勘定科目の数に制限はありません。
ですから、勘定科目のルールを作るのに、自分の好きな勘定科目をいくらでも増やすことはできます。
しかし、日々の経理では自由に勘定科目を増やせますが、青色申告決算書に追加できる勘定科目は6個までと決まっています。
ですから、青色申告決算書に印字されている勘定科目以外に、新たに7個以上作ってしまうと、確定申告のときに勘定科目を統合する手間が発生してしまいます。
あとから勘定科目を統合させる手間を考えると、新たに追加する勘定科目は6個以内にした方がいいでしょう。
それでは、どのようなルールで新たな勘定科目を追加すればいいでしょうか?
それは、先ほども触れたことですが、経常状態の分析に役立つかどうかで判断することです。
事業の状態を見るのに、この費用は別の勘定科目で管理しておきたいというときに、新たな勘定科目を設定して管理しましょう。
目的を明確にせずに、やみくもに勘定科目を増やすことだけはやめるべきです。
青色申告決算書の経費科目については、こちらの記事で詳しく書いています。
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帳簿をつけるときの勘定科目のルールについて、まとめてみました。
勘定科目のルールは自分で決めて構いませんが、大切なのは同じルールに従って、継続して運用することです。
編集後記
昨日は、新たなセミナーの企画とスライド作成を。いままで使用していたセミナー会場が値上になり、新たな会場探しに時間がかかりました。